研究課題/領域番号 |
17H02869
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
須佐 元 甲南大学, 理工学部, 教授 (00323262)
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研究分担者 |
町田 正博 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10402786)
大向 一行 東北大学, 理学研究科, 教授 (70390622)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 星形成 / 宇宙初期 / 輻射流体 / 磁気流体 |
研究実績の概要 |
初代星降着円盤の分裂の研究について30年度は昨年度から実行して来たサイエンティフィックな計算を続行し、論文にまとめることができた。この研究によって分裂片の個数進化がほぼ時間の0.3乗に比例して増加 していくことがわかった。しかもこの系がほぼスケールフリーの性質をもつことから、過去の文献にある多くの計算をスケールすると、全てこのべき乗則に従うことがわかった。これは非常に重要な発見であると考えている(Susa 2019 in press)。低金属環境においては磁場の効果を無視することができないと思われるので、これも調べようとしている。予定通りダイナミカルな状況でアウトフローが駆動する条件を明らかにした。この研究ではこれまで知られていなかった低金属量かつ低密度での駆動ウインドウが見つかった(Higuchi+2019)。なお Susa 2019およびHiguchi+2019は出版が確定しているが、未掲載であるので業績リストにはない。また金属量の低い場合やゼロの場合に関して、宇宙線やダストの効果を取り入れて化学反応計算をより整合的かつ厳密に行う試みも合わせて進めている。また今年度は衝撃波圧縮によって程金属量環境で低質量星が生まれる条件ではダストの存在が非常に重要であることも明らかにした(Nakauchi+2018)。またこのように低質量形成とって重要なダストが星形成領域のUV放射によって吐き出されてしまう条件が明らかになった。これによると10^9太陽質量よりも軽い銀河ではなかなかダストを貯めることができず、ダスト冷却による低質量形成はあまり起きないと考えられる(Fukushima+2018)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)初代星降着円盤の分裂に関しては、論文が完成したこと、また予想外の普遍的な法則が発見されたことなどから順調であると考える。 2)乱流磁場の成長に関してはやや遅れているものの、Formalismができつつあり、新年度に結果が得られると思われる。 3)低金属量環境の星形成に関しては、ダイナミカルな非理想磁気流体計算をおこない、アウトフローの駆動条件を知ることができた。今後は低効率の計算をより精密化し、数値計算の結果に還元する。
総じて1)3)に関しては順調以上の進展であり、2)はやや遅れている。全体としては概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
まず初代星降着円盤分裂に関しては、現実と思われる物理時間で数千年を超える計算を行うことを目指す。これはこれまでの計算の数十倍の積分時間にあたり、大型計算機、またはそれに匹敵する計算資源が必要である。これによってこれまでに発見した分裂の普遍的なルールが、輻射フィードバクが働いて分裂合体を止める時期まで適用できることを示す。 磁場の問題に関しては、整った両極性磁気拡散を取り扱う形式を用いて、ミニハロー中のガスの収縮ん伴う磁場のスペクトルの成長を計算することを目指す。
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