研究課題
我々は波長689nmのブロード光レーザー冷却に成功しているが、安定な実験装置へと改善する必要がある。今年度は、安定なレーザー光源作製を目指して、ホローカソードランプを用いた半導体レーザーの周波数安定化と、干渉フィルター型ECDL作製を行った。Sr87の分光は、冷却原子を用いて行われた例があるが、直接の励起を観測する方法ではないため、分光データは限られていた。そこで我々は、ホローカソードランプを用いて、Sr87のFM分光を行った。これまで観測されていなかった超微細構造遷移を観測することができ、磁気双極子と電気四重極の超微細構造定数を決定し論文となった。また、外部共振器型半導体レーザーは、従来はリットロー型が主流であったが、波長選択性や出射角はアライメントに敏感である。一方、干渉フィルター型ECDLは、波長選択性は鈍感であり、キャッツアイ構造により出射角も安定である。我々は、まずリポンプ光源である994 nmでの製作を行い、シングルモード発振に成功した。また、EDMと同じく基本対称性の破れとしてパリティの破れについて、光シフトを用いた方法を国際会議で発表し、出版された。分担者の梶田氏は、陽子―電子質量比変化の観測をを、原子時計を使わないで分子イオンの2本の振動遷移周波数のみを用いて測定する方法を考案した。その一方で、超小型原子時計に位相変調を用いて変調可能な範囲を広げる方法を開発した。分担者の阿部氏は、相対論量子化学計算を行った。分子を用いて電子EDMを求めるためには、EDM相互作用に起因するエネルギーシフトの実験的計測ととともに、相対論量子化学による有効電場の理論計算が必要になる。2017年度は、有限摂動法に基づく結合クラスター法の開発を行い、従来法より高精度な有効電場計算手法を確立させた。分担者の酒見氏は、EDM測定技術と共通である冷却Fr原子の技術開発を行った。
3: やや遅れている
分光と光源作製に時間がかかった。
2年目は応募時と交付時で金額に大きな違いがあるため、当初計画した備品を購入できない。そこで計画を変更し、波長461 nm光源をPPLN導波路にすることで、安定な光源の実現と大パワー化を行う。その上で、689nmのレーザー冷却の最適化を行い、Sr原子の光トラップを行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 14件、 招待講演 6件)
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