研究課題
今年度は、分子EDM実験で重要となる、原子数の大強度化として(1)461 nm光源の改良と(2)497 nmの周波数安定化、(3)分子生成で重要となる689 nm光源の線幅狭窄化を行った。(1)Srのレーザー冷却用の波長461 nm光源として、昨年からPPLN導波路による開発に着手した。今年度は、461 nm光源システムを3台立ち上げることで、共振器を用いない高安定な光源システムを開発した。(2)Srのレーザー冷却のリポンプ光である497 nmの光に対して、原子セルに頼らず自作の共振器への安定化に成功した。(3)光会合で重要な689 nm光源について、リットロー型ECDLでULE共振器を用いて、レーザー線幅狭窄化を行った。以上より、分子EDM実験で重要となる3つの光源の高安定化と周波数安定化に成功した。また、EDMと同じく基本対称性の破れとして、パリティの破れについて、インドのSahoo教授、フランスのKastberg教授と共同研究を行った。分担者の酒見氏は、EDM測定手法とEDM理論、およびパリティの破れについて議論を行った。分担者の阿部氏は、本研究のLiSr分子の電子EDM有効電場を精密に計算することに成功し、2.0 GV/cmと求まった。これは、本研究開始時に近似計算で得られていた0.8 GV/cmと比べて 2.5倍大きく、本研究のLiSr分子EDMの利点がさらに明確になった。また、EDMの起源に関して相補的な原子核EDMで重要となるTlF分子の計算を行った。高精度な相対論的量子化学理論に基づくプログラム開発を行い、TlF分子における電子状態項を最高精度で決定することに成功した。分担者の梶田氏は、分子EDM実験で重要となる分子遷移の周波数標準の要素技術として、分子イオンの(J,F) = (0,1/2)-(1,1/2)回転遷移周波数を用いる可能性を理論的に検討した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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