研究課題/領域番号 |
17H02888
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 修 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (20377964)
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研究分担者 |
渋谷 寛 東邦大学, 理学部, 教授 (40170922)
三角 尚治 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80408947)
中家 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (50314175)
中平 武 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30378575)
福田 努 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (10444390)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 準弾性散乱 / 原子核乾板 / 2核子散乱 / 電子ニュートリノ / ニュートリノ振動 |
研究実績の概要 |
2016年1月から4ヶ月間、ニュートリノ照査した60kg鉄標的ECCの解析を前年度から継続して行っている。現在までに全原子核乾板フィルムのスキャンは終了している。まず原子核乾板中の飛跡情報のみ反応点を再構成し、再構成された飛跡をECCの最下流までおい下げてT2K前置検出器のINGRIDで捉えられているμ粒子のトラックの位置、時間情報と原子核乾板シフターで捉えられらた飛跡の位置、時間情報を1本1本比較する。これにより原子核乾板で捉えた飛跡に対しμ粒子同定を行っている。現在、シフターと原子核乾板ECCの飛跡のつなぎ処理を始めたところで全体の4%まで終了率である。これにより、約100ニュートリノ反応から放出されている飛跡に関してμ同定、陽子同定、それ以外と分類する手法を確立した。現在、ECCとシフター、INGRIDのつなぎ処理を系統的に行っているところである。 また、ニュートリノ反応探索自体は原子核乾板の情報のみで行っているので電子ニュートリノも同様の検出効率で見つかっているはずで反応点から放出された飛跡の電子同定を飛跡の散乱角の変化量を測定する事行うプログラムの開発を同じECCに蓄積されている電子対生成事象を用いて行っている。 一方で、2016年12月から5か月間、ニュートリノ照射した1kgの水標的ECCの解析を行っており。原子核乾板のフィルム間のビーム方向距離を飛跡集団で測定することで、水標的厚み精度を1%以下で求められることを示した(鈴木、日本物理学会学会報告)。この際にフィルム間の水標的の厚みに場所依存性(平均2000㎜に対し100ミクロン程度の分散)があることが分かった。現在、厚みのばらつきの分散値を下げるべく、鉄支持体の厚み調整、固定方法の改善に取り組んでいる。 今年度、2017年10月に4㎏水標的ECCを設置し2018年5月末までニュートリノ照射を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度に引き続きニュートリノ反応解析手法の確立を目的に開発をしている。約100反応であるが反応点からの飛跡に対して粒子同定およびINGRIDと組わせることでμ同定を行っている。一連の解析の流れは出来つつあり、異なる検出器同士のつなぎの効率化、高速化を今後行う事でニュートリノ反応断面積の報告など物理結果が出せる見込みがついている。またニュートリノ反応を増やすべく標的質量を上げたチェンバー構造の改善を行っており、今年度は水200㎏標的のチェンバー部の設計を前半で行い、2019年の1月の照射に向け、原子核乾板ECCの製造を行う予定である。この製作スケジュールはほぼ申請書に記した計画通りの進捗に相当する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は200kgの水標的ECCの作成を年内に行う。以前の水標的の4kgからの規模拡大であり、水容器への原子核乾板設置の効率化、設置の際の原子核乾板の歪みの最小化の開発を行う。また鉄板の両面に原子核乾板を配置し、原子核乾板の平面性を確保すると共に鉄による荷電粒子の散乱を測定する事で運動量、およびその変化を捉える事ができる。また原子核乾板で捉えた飛跡の濃さ(エネルギー損失dE/dXに相当)の情報も加えることで電子同定を行い、電子ニュートリノ反応の検出を目指す。今までに比べ、また解析反応数が多くなるので解析ストリームの効率化、反応再構成、飛跡のつなぎ計算処理の高速化の研究も同時に進める。
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