研究課題/領域番号 |
17H02890
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
向山 信治 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40396809)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 宇宙物理 / 天文学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、一般相対論を超える重力理論の整合性を系統的に調べ、その宇宙論的帰結を導き、検証可能な予言をすることである。 本年度は、具体的には以下のような研究を行なった。(1) Extended quasidilaton massive gravityにおけるBoulware-Deser ghostについて調べた。(2) Quadidilaton massive gravityを修正することで、Minimal theory of quasidilaton massive gravityを構成した。(3) dRGT massive gravityにおける非等方宇宙論解を解析した。(4) カメレオン場の導入によって適用範囲を広げたbimetric gravity理論を提唱した。(5) Non-projectable Horava gravityの低エネルギー有効理論において、ブラックホールのno-hairを摂動的に証明した。(6) 運動方程式が2階微分方程式になるp-form理論を分類した。(7) Quasidilaton massvie gravityの宇宙論解を解析した。(8) 場の空間が負の曲率を持つインフレーション模型の摂動を解析した。(9) カメレオン場の導入によって適用範囲を広げたbimetric gravity理論において、massive gravityをダークマターとするシナリオを提唱した。(10) 物理的自由度が2の新しい重力理論を提唱した。(11) Minimal theory of quasidilaton massive gravityにcubic Horndeski項を加えた理論を構成した。(12) 最近くりこみ可能性が証明されたHorava-Lifshitz重力理論に基づいて、平坦性問題を考察した。(13) カメレオン場の導入によって適用範囲を広げたbimetric gravityの安定性解析を行った。(14) ベクトル場によるdisformal変換を考察し、宇宙論的摂動への影響を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の本研究の結果に基づいて、査読付学術雑誌に論文を14本出版し、国際会議で招待講演を4回行なった。したがって、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
宇宙創世のような重力と量子論の両方が本質的となる状況では、一般相対論も場の量子論も破綻してしまう。したがって、真に宇宙創生を論ずるには、この理論的破綻を回避して重力と量子論を調和させる、量子重力理論が必要である。そして、量子重力理論の構築のためには一般相対論を短距離で修正する必要がある。 また、現在の宇宙の加速膨張は、一般相対論に基づいて説明しようとすると、ダークエネルギーの存在を示唆する。しかし、その正体は全く分かっていない。さらに、最近の赤方偏移空間歪みの観測などからは、一般相対論と通常考えられているダークエネルギーでは説明できそうにないデータが出始めている。歴史的には、19 世紀に似た状況が知られている。観測により水星の近日点移動が発見されたが、そのままではニュートン力学で説明できなかったため、人々は見えない惑星を導入して説明しようとした。いわばダークプラネットである。発見したと主張する者もいたが、本当の答えはダークプラネットではなく、 重力理論を変える ことだった。一般相対論は水星の近日点移動を見事に説明し、 ニュートン力学に変わる、新しい重力理論としての地位を獲得したのだった。この歴史的事実を鑑みれば、少なからぬ研究者が「ダークエネルギーを導入する代わりに、一般相対論を変更する事はできないか?」と考えるのも理解できる。もしも一般相対論が宇宙論スケールの長距離で変更を受けるのなら、ダークエネルギーを導入せずに観測データを矛盾なく説明できるかもしれない。 本研究では、以上のような動機づけにより、以下の4課題を並行して研究する: 課題(i) 超弦理論に基づく初期宇宙モデル; 課題(ii) Horava‐Lifshitz 重力理論に基づく宇宙シナリオ; 課題(iii) 重力のヒッグス機構とインフレーション・修正重力の有効場の理論; 課題(iv) Massive gravity における宇宙論。
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