研究課題/領域番号 |
17H02897
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
本間 謙輔 広島大学, 理学研究科, 助教 (40304399)
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研究分担者 |
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / 真空内四光波混合 / sub-eV |
研究実績の概要 |
暗黒エネルギー(DE)、暗黒物質(DM)は現代物理学の最大級の謎である。特にDMの起源は弱結合する素粒子群である可能性が示唆されている。南部・ゴールドストーンらは自発的対称性の破れ(SSB)に伴う零質量のボゾ(NGB)の存在を予見した。ヒッグス機構は、SSBを拡張した模型であり、同機構が検証されつつある現在、SSBの主導原理を多様な対称性に適用することは正統な潮流である。故に重いDMの探索と、その対極にある質量が零に近いNGBの一般的探索は、探索の両輪となる資格がある。本研究の最終目的は、2色(生成光+誘導光)の極短パルスレーザー光を真空中で混合集光し、真空起因の四光波混合過程の観測により、軽い暗黒物質となり得るsub-eV質量域の中性共鳴場を、これまで公表した探索結果と比べて高感度な条件で探索することにある。2019年度は、原子起因の背景光が集光点に起因する事象に限ることが可能なレーザー強度域にて、探索を実施した。その結果、統計的に有意な信号光は観測されなかった。この観測結果から、これまで公表した擬NGBと光子の結合定数に対する棄却域を2桁向上することに成功した。この結果は、arXiv: 2004.10637に投稿しPTEPに掲載が決定している。加えて、原子起因の背景光が集光点及び光学素子表面の双方に由来するレーザー強度域においても探索へと駒を進めた。その際、光学素子表面起因の背景光を定量化する手法を確立した。さらに、非線形光学結晶を介した増幅(OPA)により、誘導光パルスの極短パルス化に成功し、誘導光を相互作用真空容器内で集光する段階まで到れた。この誘導光の利用により、さらに高感度の探索を見込めることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的低強度のレーザー場による探索の結果ではあるが、探索結果を出版できたため。並行して、より高強度のレーザー場による光学素子表面起因の背景光を定量化する手法の確立、及び、非線形光学結晶を介した増幅(OPA)により誘導光パルスの極短パルス化に成功し、誘導光を相互作用真空容器内で集光する段階まで至ったため。
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今後の研究の推進方策 |
より高強度の生成用レーザーとOPAにより高強度化した誘導用レーザーを組み合わせ、より高感度の探索に駒を進める。しかし、コロナウィルスの影響のため高強度レーザーが利用できる京都大学化学研究所へ出張できない場合には、昨年度までに取られた探索データを解析し、探索結果を出版する予定である。
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