研究課題
リニアコライダーのためのエミッタンス交換による非対称ビームの生成について研究をすすめた。リニアコライダーで必要となるエミッタンスは、ルミノシティを最大化し、かつビーム相互作用によるエネルギーテイルの抑制のため、xとy各々に対してex=10 mm.mrad, ey=0.04 mm.mradと大きな非対称度を持っている。現在の設計案では、蓄積リング内における放射減衰によりそのビームを実現するが、本提案ではxyのエミッタンス振り分けにより行う。ソレノイド磁場中で発生させたビームは角運動量を有するが、このxy間の相関運動をxとy各々の自由度に独立な運動として解消する過程で、必然的に大きな非対称度のビームが生成される。この際、リウビルの定理により、エミッタンスの積は変換の前後で保存される。すなわち、ex=10 mm.mrd, ey=0.04 mm.mradを実現するには、ex=ey=0.6 mm.mrad程度の対称なビームを発生させることになる。この条件について、シミュレーションを中心とした検討を進めた結果、カソード近傍の非線形空間電荷効果によるエミッタンス増大のため、所定の非対称ビームの生成はそのままでは困難なことが明らかとなった。空間電荷効果の緩和のために初期ビーム径を大きくし、xy交換によりyエミッタンスを極小化する手法をあらたに提案した。本方式ではxエミッタンスが過大となるが、xz交換を導入し、過大なxエミッタンスをz方向に押し付けることで解決する。zエミッタンスに対する制限は極めて緩く、問題とならない。本提案は、2020年度からのあらたな研究計画としてスタートした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Physics: Conference Series
巻: 1350 ページ: 012047
doi:10.1088/1742-6596/1350/1/012047