研究課題
計画通り、前年度にカナダTRIUMFで取得した様々な加工パターンでレーザー穴加工をシリカエアロゲルからのミュオニウム生成データの解析を進め、ミュオニウム生成率、スピン偏極度の導出を行なった。また、同じサンプルをJ-PARCのパルスミュオンビームに照射して行なった実験結果と比較し、TRIUMFの結果と無矛盾であることを確かめた。これによりTRIUMFで得られた実験結果に基づきJ-PARCで計画中のミュオンg-2/EDM実験に用いるミューオニウム生成シミュレーションを構築した。また、本研究のアプローチと比較するため、スイス・PSIで開発されているミュオン冷却方法についてシミュレーションを用いた比較を行った。PSIで用いられている低温希ガスでミュオンを減速させる方法では、ミュオンビームを効率的に加速空洞に入射できないことがわかった。一方、本研究で得られたミュオニウムをレーザーイオン化する方法では、崩壊によるロスを除けばほぼ100%の効率で加速器に入れられることがわかった。これまでの課題であったシリカエアロゲルのレーザー加工時に生じる歪みの問題を、両面からレーザーを打ち込むことにより応力の偏りを平均化し、歪みを抑制することに成功し、良い平面度をもつサンプルの製作に成功した。このサンプルをミュオンビームラインに設置するための標的ホルダーと設置架台を開発した。
2: おおむね順調に進展している
計画通りデータ解析を進めることができた。他のミュオン冷却手法との比較もデータに基づいたシミュレーションを構築し、定量的に実施できた。これまでの課題であったシリカエアロゲルのレーザー加工時に生じる歪みの問題を、両面からレーザーを打ち込むことにより応力の偏りを平均化し、歪みを抑制することに成功し、良い平面度をもつサンプルの製作に成功した。これをビームラインへ設置し試験するための標的ホルダーと架台の開発を行い、非常にデリケートな加工面への接触を最小限に抑えた支持構造が機械構造的に成立することを実証することができた。
開発したシリカエアロゲル標的を用いてJ-PARCミュオン実験施設で稼働中のミュオンビームラインに設置し、熱ミュオニウム生成とそれを1S-2P遷移や1S-2S遷移用いてレーザーイオン化する試験を行う準備が整った。今後のビームタイムで評価を行う。また、これまでに得たデータを総括した論文を執筆する。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Phys. Rev. Accel. Beams
巻: 21 ページ: 050101
10.1103/PhysRevAccelBeams.21.050101
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 899 ページ: 22-27
10.1016/j.nima.2018.05.014
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