光電子回折における前方収束ピークから元素・原子サイト選択的に電子構造の情報が得られる。円偏光励起による円二色性から軌道磁気量子数を計測する手法・装置開発を行った。内殻吸収端における共鳴オージェ電子回折にも円二色性が現れることを発見した。3d金属では特にCu~Feの後期遷移金属でこの効果(2正孔生成)が顕著に現れる。逆にTi化合物など前期遷移金属では1正孔生成の共鳴光電子放出が支配的となり、元素選択的に特定のバンド分散が強調されて観測できることを示した。さらに軽元素のK殻吸収端での共鳴過程を研究し、グラファイトで通常の光電子とは異なる2電子の総運動量が保存される共鳴オージェ遷移過程を見出した。
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