研究課題/領域番号 |
17H02913
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
胡 暁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究者 (90238428)
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研究分担者 |
宮崎 英樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (10262114)
苅宿 俊風 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクト研究拠点, 研究員 (60711281)
深田 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクト研究拠点, 主任研究者 (90302207)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | トポロジー / トポロジカル絶縁体 / ノーダル・ライン / グラフェン |
研究実績の概要 |
従来、トポロジカル特性に保護された量子電気伝導を実現するには、外部磁場の印加か、大きなスピン軌道相互作用が必要とされてきた。しかし、磁場の使用は量子機能のオンチップ化を妨げてしまう。また、大きなスピン軌道相互作用は重い元素に限られ、現存する半導体エレクトロニクスとの融合に問題を抱える。もしグラフェンやシリコンにトポロジカル特性を付与することができれば、効率の高い情報処理・情報伝搬等、現代の情報化社会が最も必要とする革新的技術の開発に重要なインパクトを与える。我々はグラフェンの格子点間の電子遷移エネルギーに、六回回転対称性を満たすように空間的変調を導入することによって、トポロジカル特性を創成する方法を見出した。スピン軌道相互作用の代わりに、クーロン相互作用を利用してトポロジカルなエネルギーギャップを生成するのが特徴である。特にトポロジカル指数の計算を行い、量子化された電気伝導が実現できるエッジ形状を明らかにした。 また、fcc格子を利用すれば、運動量空間で閉じた輪に亘って線形的な分散関係を示すトポロジカル状態を実現できることを明らかにした。この状態はノーダル・ライン・セミメタルと呼ばれ、特異な表面状態をもたらすことが知られ、多くの研究チームが候補物質を提案し、実験的に探索している。我々の理論によれば、fcc格子が持つ対称性のみでこの特異な状態が実現可能である。その一例として、シリコンのボールがfcc格子的に配列することによって得られる三次元フォトニック結晶で光のトポロジカル・ノーダル・ライン状態を数値計算と理論解析で解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実空間操作によるトポロジカル状態発現を目指して研究を遂行しており、すでに二つの事例を明らかにした。グラフェンをベースにホッピングエネルギーの操作によってトポロジカル電子状態が発現することが明らかになり、後方散乱が起きないようなエッジ形状も判明した。また、2次元系のみならず、3次元結晶においても、実空間配列の調整によって、トポロジカル状態が実現できることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は主に、(1)如何にしてより大きなトポロジカルエネルギーギャップを生成するかについて理論的な探索、(2)実験家との共同研究を通じた、理論的に予言されたトポロジカル状態の実験的検証等を推進する。
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