研究課題
[1]強相関拡張された二軌道ハバード模型では、高スピン(HS)相と低スピン(LS)相の間に励起子絶縁体が現れる。この相境界付近で、弱いスピン軌道相互作用を採り入れると、HS相に内在する四重極自由度の揺らぎにより帯磁率が著しく増強されることを明らかにした。[2][1]の励起子絶縁体の模型において、変分クラスタ法を用いてvertex補正まで取りいれ、光学電導度を計算したところ、励起子絶縁相においては鋭いピークと連続スベクトルという特徴的な構造が得られ、この構造の積分値が励起子の秩序変数でスケールすることから、この相を特徴づける観測量であることを明らかにした。[3][1]の2軌道ハバード模型の電荷自由度をスピン自由度に読み替えたダイマースピンモデルのうちで、S=1から構成される系において3種類の四重極相を見出し、そのうちフェロネマティック相の比熱の温度依存性に特異なリエントラント現象が生じることを明らかにした。これらの四重極相は[1]の模型の励起子相と読み直すことができる。[4]励起子絶縁体の候補物質のコバルト酸化物のうち、反強磁性と焦電性を同時に示すマルチフェロイック物質BiCo03に着目し、の第一原理電子状態計算を行った。CoサイトをFeイオンで置換した際の圧電定数の変化を調べたところ、単斜晶構造Bi(Co, Fe)03が大きな圧電定数を示すのは、Co05ピラミッド配位の頂点酸素原子が対称性を下げることなく変位することにより、ピエゾテンソルの非対角項に寄与することが原因であることが分かった。また、スピン軌道相互作用を考慮したバンド計算により、反強磁性磁気空間群の対称性から許されるラシュバ効果を示すことを計算予測した。[5][4]のBiCo03のスピン軌道相互作用の効果の理解に参考となる有効モデルとして 反強磁性絶縁体の一般化モデルを考案し、擬スピン描像を用いて系の性質をその詳細によらず解析的に明らかにする方法論を開発した。2種類のマグノン(擬スピン自由度)が混成して熱ホール効果やスピンテクスチャを生じる機構として、過去に知られていたスピン軌道相互作用以外に、Kitaev相互作用を含め、多くの空間的に反対称な相互作用が新たに加わることを明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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