研究成果の概要 |
超伝導体中の量子磁束はランダム基板上の2次元粒子系とみなせる。直流または交流駆動力を印加し増大させると, 終状態は静止状態からフロー状態へと転移する。これをディピニング転移という。交流駆動の場合, 過渡状態では次の衝突を避ける配置に自己組織(秩序)化する。剪断振幅を増大させると, 終状態は全ての粒子が元の配置に戻る可逆状態から戻らない粒子が存在する不可逆状態へと転移する。これを可逆不可逆転移という。本研究では交流による2つの転移が共に, 吸収状態転移のDPクラスと同じ普遍クラスに属することを実証した。さらに交流に直流を重畳すると, 終状態は秩序相と無秩序相が相分離するという新奇現象を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は, 運動の中から秩序は如何に作られるか?という基本的な問の学理に迫るものであり, 大きな普遍性をもつ。ディピニング転移は応用上も重要な固体間の摩擦や強磁性体の磁壁の運動に, 可逆不可逆転移は固体の降伏現象・塑性変形や生物の集団運動などに現れ, これらを包含する吸収状態転移は, 浸透や触媒反応, 流体の目詰り現象, あるいは感染や山火事のモデルとなるなど社会への波及性は大きい。
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