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2018 年度 実績報告書

脂質二分子膜とコロイド粒子の動的カップリング機構

研究課題

研究課題/領域番号 17H02942
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

濱田 勉  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (40432140)

研究分担者 永井 健  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (40518932)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード生物物理 / 物性実験 / 脂質
研究実績の概要

外場として浸透圧を用いて、膜ゆらぎおよび膜変形を誘起する実験を行った。負荷電不飽和脂質DOPGと中性不飽和脂質DOPCから成るベシクル成分比および浸透圧強度を変化させ、ベシクル形状ダイナミクスを解析した。そして、ベシクル膜にコロイドを付け、カップリングダイナミクスを観察した。膜上でのコロイドの集合や、コロイドが吸着した部位からの膜変形等のパターンが観察された。
また、コロイドの膜透過現象に関する論文を発表した。温度低下により膜張力を変化させると、金ナノコロイドがDOPC二分子膜を透過し、ベシクル内へ移行した。両性電解質高分子を添加することで、透過現象が促進されることを報告した。膜張力は、浸透圧による外場でも変化する基本的な膜物性であり、コロイドとの相互作用に影響を及ぼす知見を得ることができた。
更に、膜ゆらぎと相分離現象の関係性についての基礎物性に関する研究を行った。浸透圧で膜ゆらぎを抑えると、三成分ベシクル(DOPC、中性飽和脂質DPPC、コレステロール)の相分離が誘起されることを実験的に明らかにし、膜の自由エネルギー計算により物理メカニズムを説明した。膜ゆらぎに関係する自由エネルギーの項は、浸透圧によりゆらぎが抑えられることで低下し、そのエネルギー変化の様子は相の固さに依存した。全自由エネルギーを計算すると、固体相よりも液体相の方が負に移行しやすい、すなわち相分離しやすいことを示した。これは、実験結果と一致した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

浸透圧誘起による膜の変形モードとコロイドの関係、および膜張力や膜ゆらぎに関する新たな知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

コロイド結合ベシクルの浸透圧ダイナミクス:浸透圧により膜ゆらぎや形状変化を誘起し、膜上に結合したコロイドの動きを観察する。膜の組成を変化させることで浸透圧による様々な膜ダイナミクスを創り出し、コロイドの動きとの相間を解析する。特に出芽変形などに注目し、細胞が物質を内部に取り込む膜動態(エンドサイトーシス機能)との関連について考察を進める。
コロイド結合ベシクルの光応答ダイナミクス:光応答性分子を含む反応性ベシクルをデザインし、膜上にコロイドを結合させる。光により膜ゆらぎや形状の変形ダイナミクスを誘起し、コロイド挙動とのカップリングを解析する。浸透圧などの他の外場を用いて得られた結果と比較し、膜とコロイド粒子系のカップリング機構を考察する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Hydrophobic Polyampholytes and Nonfreezing Cold Temperature Stimulate Internalization of Au Nanoparticles to Zwitterionic Liposomes2019

    • 著者名/発表者名
      Sana Ahmed, Kazuaki Matsumura, and Tsutomu Hamada
    • 雑誌名

      Langmuir

      巻: 35 ページ: 1740-1748

    • DOI

      10.1021/acs.langmuir.8b00920

    • 査読あり

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公開日: 2019-12-27  

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