研究課題/領域番号 |
17H02948
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川勝 均 東京大学, 地震研究所, 教授 (60242153)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地震波異方性 / 標準地球モデル / 表面波トモグラフィー |
研究実績の概要 |
本研究は,我々(国際共同研究チーム)が新たに提案した“地震波異方性第5のパラメター”を使い,最終的には現在の標準モデルPREMに代わる全地球(上部マントル)標準モデルの構築を目指すものである.そのための基礎的な理論的研究,ロバストな解析アプローチの提案,データ解析,モデル構築などを国際共同研究チームとして推進し,グローバルな異方性構造およびトモグラフィー研究の新たな指標となることをめざしている.地球内部の地震波異方性が,あらたに定義されたパラメターにより適切に記述できるようになることは,地球内部の流動変形を観測から制約する上で重要な進展となり,地球内部構造,地球内部ダイナミクス等の研究分野に広く貢献するものと考えられる. 本研究では以下の六項目を目指すこととしている:(1)表面波解析における新パラメターを含む異方性パラメターの解像可能性の解明,(2)実体波解析(走時,反射・変換特性)における新パラメターを含む異方性パラメターの解像度の解明,(3)実体波,表面波の両者を使った新パラメターを含む異方性パラメターの解像可能性の解明,(4)マントル構成(候補)物質の新パラメターを含む異方性パラメターの推定,(5)標準地球モデルPREMの再構築(revise),(6)新パラメターをパラメターとする広域表面波トモグラフィーの実施. 研究は順調に進んでおり,研究の各項目(1)-(6)に於いて進展があった.また本研究をテーマとした二編の修士論文が,東京大学大学院,北海道大学大学院で提出され,学位が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記(1)(3)(6)については,東京大学大学院および北海道大学大学院において,学生(修士課程)の研究テーマとして研究が進められ,2018年度末に二編の修士論文として提出され,学位が認められた.また関連の学会発表が,日本地球惑星科学連合大会や日本地震学会秋季大会等でなされた.(2)については,Geophysical Journal International誌およびGeophysical Research Letters誌に論文を公表した.(4)については,海外共同研究者T.-R. A. Song博士(ロンドン大学UCL)が来日滞在し,現実物質によるパラメター間のスケーリング則に関する研究を行った.(5)については.海外共同研究者J.-P. Montagner教授(パリ大学,IPGP)を招聘し,基礎的な逆問題の定式化および初期解析を行った.(6)については,研究協力者 吉澤和範准教授(北海道大学)らのグループとともに,オーストラリア,太平洋域においてトモグラフィー解析をすすめた(上記修論研究として).
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今後の研究の推進方策 |
研究はこれまでのところ当初の予想を超えて進展している.H31には,全ての項目に於いて研究のさらなる展開を図ると共に,最終目標の(5)を完成させたい.また研究成果を論文およびWEBで公表する.
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