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2017 年度 実績報告書

脈動実体波を用いた嵐直下の地球深部構造推定

研究課題

研究課題/領域番号 17H02950
研究機関東京大学

研究代表者

西田 究  東京大学, 地震研究所, 准教授 (10345176)

研究分担者 高木 涼太  東北大学, 理学研究科, 助教 (10735963)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード地動の脈動 / 脈動実体波
研究実績の概要

脈動源の震源情報をカタログ化: Hi-net 観測点(約800 点、3 成分) 14 年分(2004-2017年)の連続データを収集し、機器応答は時間領域で補正し、収録機器起源のコヒーレントなノイズは予め差し引いた。最終的には2Hz にダウン・サンプルした。データ解析に適した、HDF5 フォーマットを採用した地震波形データ・フォーマットを新たに設計し、200TB 程度のストレージ上でデータベースを構築した。
予察的に、Hi-netの連続データを用いて系統的なアレー解析を行った。動径成分と上下動成分に顕著なP波を見て取れる。ほぼ年間を通して顕著なP波を確認することが出来た.一方SH波を確認出来るイベントは少なく年に10日程度である.これはSH波の励起には、励起源直下に厚い堆積層・急激海底地形の変化が必要なためであると考えられる[Nishida and Takagi 2015].
続いて、予備的に2005年から2013年にかけてのデータを用い、脈動実体波の震源を決定し、カタログ化を行なった。海洋波浪モデルに基づく研究から、北西太平洋・北大西洋・南極海での励起が強い事が知られている。得られた震源位置・大きさは、これら海洋波浪のモデルと調和的だった。
データベース化を行ったHi-net データを用いて、系統的に観測点毎の連続データに粒子軌跡解析を適用することで,日本列島で観測される Secondary microseisms の励起源は特定の水深の範囲に分布しており、海中音波の共鳴によるソースサイト効果によりレイリー波が効率的に励起されていることを明らかにした。研究内容は現在国際誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究実施計画にあるとおり、大量の地震波形データを系統的に収集しデータ解析を行い、内容を論文としてまとめたため。

今後の研究の推進方策

脈動源の高精度な位置とシングルフォースの大きさのカタログ化:
現在の予察的な解析結果では、震源位置の決定のみを行った。Nishida and Takagi [2016] は海洋波浪による脈動の励起は理論的に鉛直方向のシングル・フォースで記述でき、実際に地震波形データから推定できることを示した。本計画では、脈動P 波から脈動のより高精度な震源位置とその強さ(シングルフォースの大きさ) を推定しカタログ化を行う。震源カタログの情報は構造推定に適宜反映していく。具体的には、(i) 海水層での多重反射・変換はGualtieri et al. [2014] によりサイト特性として評価し、(ii) 予察的なカタログをもとに基準となる地震を選び、系統的に観測点補正を推定し、(iii) 逆伝播法[2] を用い、(i), (ii) の情報と合わせ高精度な震源位置とそのシングルフォースの大きさを推定する事を計画している。
通常のレシーバー関数解析では、レシーバー直下の構造そのままでは震源直下での変換波(図7) には適応できない。観測点直下の構造を推定するためには、直達P 波でデコンボリューションする必要がある。しかし、通常の地震の解析とは異なり、P波は持続的に海洋波浪から放射されている。そこで、持続的なP波記録に適応可能なあらかなレシーバー関数解析の手法を開発する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ambient seismic wave field2017

    • 著者名/発表者名
      NISHIDA Kiwamu
    • 雑誌名

      Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci

      巻: 93 ページ: 423~448

    • DOI

      10.2183/pjab.93.026

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 振動軌跡解析に基づく常時微動波動場の特徴2018

    • 著者名/発表者名
      高木 涼太
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2019年大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Global source locations of P-wave microseisms using Hi-net data from 2005 to 20112017

    • 著者名/発表者名
      西田 究・高木 涼太
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会
  • [学会発表] Hi-netデータの粒子軌跡解析から推定した脈動レイリー波源2017

    • 著者名/発表者名
      高木 涼太・西田 究
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会
  • [学会発表] Global source location of P-wave microseisms using Hi-net data from 2005 to 20112017

    • 著者名/発表者名
      Kiwamu Nishida, Ryota Takagi
    • 学会等名
      IASPEI
    • 国際学会
  • [学会発表] Dominant source locations of secondary microseisms in Japan estimated by Hi-net data2017

    • 著者名/発表者名
      Ryota Takagi, Kiwamu Nishida
    • 学会等名
      IASPEI
    • 国際学会
  • [備考] 大西洋の爆弾低気圧によって励起された脈動実体波

    • URL

      http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/knishida/Research/Science2016/Science2016.html

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公開日: 2018-12-17  

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