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2018 年度 実績報告書

脈動実体波を用いた嵐直下の地球深部構造推定

研究課題

研究課題/領域番号 17H02950
研究機関東京大学

研究代表者

西田 究  東京大学, 地震研究所, 准教授 (10345176)

研究分担者 高木 涼太  東北大学, 理学研究科, 助教 (10735963)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード地動の脈動 / 脈動実体波
研究実績の概要

これまで、通常のアレー解析では平面波を仮定して到来方向・見かけ速度を推定して、波源を推定していた。しかし、直接波と反射波(例えばPとPP波)を区別できないという原理的な問題があった。そのため、どうしても何箇所かで、見かけ上偽の位置に脈動源が決定されてしまうことがあるという問題があった。そこで、アレー内を通過する波面の曲率半径を測定し、測定された曲率半径から、波源までの距離を推定する解析手法を開発した。予察的なデータ解析で、既存の手法では東南アジアに間違って位置決定されていた脈動源が、より正確に南半球に決定できるようになった。現在、昨年度構築したHi-net データ(約800 点、3 成分, 14 年分(2004-2017年)に適応し、脈動源の高精度な位置決定と、そのシングルフォースの大きさのカタログ化を行っている。
また0.2 Hz よりも高周波数帯では、脈動記録に対してアレー解析を行おうとすると、観測点間距離が波長より短くなるという原理的な問題があった。そのため、より短周期の脈動の性質を探ろうとすると、困難が伴う。そこで、新たに観測記録の粒子記録から、波源の推定を行った。また、粒子軌跡の位相差の情報から、0.2Hzより高周波数の帯域で、Hi-netによって観測された脈動記録がどの程度実体波成分を含むか定量的に明らかにし、論文にまとめ国際誌に発表した。
地震波干渉法を使って如何に脈動実体波を抽出し、地球内部構造を推定するか、これまでの研究をレビューしbook chapter としてまとめ発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画にあるとおり、大量の地震波形データを系統的に収集しデータ解析を行い、内容を論文としてまとめたため。

今後の研究の推進方策

脈動源の高精度な位置とシングルフォースの大きさのカタログ化: 現在までの解析では、震源位置の高精度化にむけた手法開発を行った。新たな手法を用いて、より高精度な震源カタログを作成する予定である。また2018年度から、フランスのIPGPのグループと共同研究を始め、違った手法・データセットで決定した震源カタログを比較し、より正確な方録を作成することを計画している。本計画では、脈動P 波から脈動のより高精度な震源位置とその強さ(シングルフォースの大きさ) を推定しカタログ化を行う。いく。具体的には、(i) 海水層での多重反射・変換はGualtieri et al. [2014]によりサイト特性として評価し、(ii) 予察的なカタログをもとに基準となる地震を選び、系統的に観測点補正を推定しそのシングルフォースの大きさを推定する事を計画している。IPGPの研究者との議論で(i)に関しても、手法の高度化が必要であることが明らかになったので、共同研究によって手法を高度化する計画である。

海洋物理学に基づくモデリングとの比較: フランスの海洋物理学のグループは(Ardhuin et al., 2011)、海洋波浪のグローバルなモデルを公開している。本計画では、海洋波浪モデルから系統的に脈動の震源情報を推定し、地震波計データから推定した値と比較していく。特に、海洋波浪の海岸線での反射は脈動の励起に強く効くにもかかわらず未だ不確定な要素が強い。モデル値と観測値の違いから、海洋物理学へフィードバックを試みる。

嵐直下の構造推定とその検証: 推定した震源のカタログ情報をもとに観測点直下の上部マントル構造を推定し、既存の手法によってい決定された日本列島直下の構造と比較する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] IPGP(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      IPGP
  • [雑誌論文] Seismic Observation of Tsunami at Island Broadband Stations2019

    • 著者名/発表者名
      Nishida Kiwamu, Maeda Takuto, Fukao Yoshio
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Solid Earth

      巻: 124 ページ: 1910~1928

    • DOI

      10.1029/2018JB016833

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Body Wave Exploration2019

    • 著者名/発表者名
      N. Nakata, K. Nishida
    • 雑誌名

      In N. Nakata, L. Gualtieri, & A. Fichtner (Eds.), Seismic Ambient Noise

      巻: - ページ: 239~266

    • DOI

      10.1017/9781108264808.010

    • 国際共著
  • [雑誌論文] Ambient seismic noise wavefield in Japan characterized by polarization analysis of Hi-net records2018

    • 著者名/発表者名
      Takagi Ryota, Nishida Kiwamu, Maeda Takuto、Obara Kazushige
    • 雑誌名

      Geophysical Journal International

      巻: 215 ページ: 1682~1699

    • DOI

      10.1093/gji/ggy334

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In Situ Characterization of the Lithosphere-Asthenosphere System beneath NW Pacific Ocean Via Broadband Dispersion Survey With Two OBS Arrays2018

    • 著者名/発表者名
      Takeo Akiko, Kawakatsu Hitosh, Isse Takehi, Nishida Kiwamu, Shiobara Hajime, Sugioka Hiroko, Ito Aki, Utada Hisashi
    • 雑誌名

      Geochemistry, Geophysics, Geosystems

      巻: 19 ページ: 3529~3539

    • DOI

      10.1029/2018GC007588

    • 査読あり
  • [学会発表] 振動軌跡解析に基づく常時微動波動場の特徴2018

    • 著者名/発表者名
      高木涼太
    • 学会等名
      JpGU2018
    • 招待講演
  • [学会発表] Seismic observation of tsunami at island broadband stations2018

    • 著者名/発表者名
      西田 究、前田 拓人、利根川 貴志、深尾 良夫
    • 学会等名
      JpGU2018
  • [学会発表] Seismic observation of tsunami at island broadband stations2018

    • 著者名/発表者名
      Kiwamu Nishida, Takuto Maeda, Yoshio Fukao
    • 学会等名
      AGU fall meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] ランダムな海洋重力波に対する海洋島の弾性応答2018

    • 著者名/発表者名
      西田究
    • 学会等名
      地震学会秋季大会

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公開日: 2019-12-27  

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