研究課題
メルトを比較的多く含む系の非弾性測定を行い、メルトの効果も含む拡張された非弾性モデルを完成することができた。このモデルは、沈み込み帯や火山直下などに応用することができる。また、二段階粒成長法により、孤立した第2相を持つ二成分共融系試料の作成に成功した。この試料を用いて、ソリダス直下の温度でのプレメルティングによる力学物性の変化と、ソリダス温度での部分溶融(つながったメルト相の発生)による力学効果を測定した。その結果、Takei & Holtzman (2009)で予測されたような繋がったメルトによる粘性の急激な低下は検出されず、Takei & Holtzman(2009) のモデルの見積もりが過剰であったことを示したRudge(2018)の理論が正しいことを確認した。また、部分溶融を経験した系に対してYamauchi & Takei (2016)で検出した非弾性のヒステリシスは、固化したメルト相ネットワークの存在が原因で生じたのではなく、粒界構造自体にヒステリシスがあるということも明らかにできた。フェーズフィールドモデルによる粒界無秩序化の予測をマントルに応用するため、揮発性元素(水と二酸化炭素)を含むマントルのリッジ直下での減圧分別溶融過程を粒界への揮発性元素の吸着を考慮して解き、海洋マントル中の揮発性元素の深さ分布とソリダスを求めた。その結果、深さ50km以深ではソリダスがリッジ直下のジオサームと一致することがわかった。この結果と、Yamauchi&Takei(2016)で実験的に求まったプレメルテイング効果を含む非弾性モデルを用いて、メルトの全く存在しない海洋マントルでもプレメルティングによってリソスフェアアセノスフェアの構造が作られることを示すことができた。非弾性実験に用いる岩石アナログ試料について、微量不純物を取り除くことで粒界構造が制御できるようになった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
巻: 21 ページ: 1 25
10.1029/2020GC009338