研究課題/領域番号 |
17H02953
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 英昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00312992)
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研究分担者 |
石上 玄也 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90581455)
田中 宏幸 東京大学, 地震研究所, 教授 (20503858)
尾崎 正伸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90300699)
日野 英逸 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10580079)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ミュオグラフィ / 惑星探査 / 内部構造 / ミュオン / シンチレータ |
研究実績の概要 |
太陽系固体天体探査において、浅部地下構造は今後極めて重要な探査対象となる。地下構造の理解には密度構造の把握が決定的に重要であるため、これを直接的に計測できるミュオグラフィ技術は惑星探査にとって魅力的である。実際の探査においてミュオグラフィを適用するには、探査機搭載に向けた装置の低リソース化(小型化、省電力化)が必須となるが、装置の小型化は検出器受光部の面積縮小を意味し、これはミュオンの検出効率を低下させる。その意味で惑星探査に利用できる適切な大きさのミュオグラフィ装置の検討がまず必要であった。本研究は特に火星を対象とした観測成立性を検討し、十分な積分時間さえ取れれば超小型装置であっても意義深い探査が行えることを確認した。この検討に基づき、20平方センチメートル程度の受光部断面積を持つ超小型のミュオグラフィ原理実証モデルを開発した。原理としては、入射したミュオンによりシンチレータが発光し、その微弱な光を光電子増倍管で増幅することで、オシロスコープで読みだすというもので、小型光電子増倍管とプラスチック・シンチレータ、小型高圧電源ユニットで構成している。開発した検出器の大きさは1個あたり4 cm×4 cm×7 cmであり、重量は約500 g、消費電力は約0.03 W(電圧 -0.8 kV、電流 35 μA)であった。検出装置は2台製作し、それぞれの向きや距離を変え、さらに低エネルギーの粒子による誤検出を排除するために鉛板を利用した。その結果、既に知られている地上での鉛直ミュオン強度などと比較しても調和的な検出効率を達成できていることが確認され、原理実証機の作成としての目的は達せられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超小型ミュオグラフィ装置の原理実証モデルを作成し屋内でのミュオン検出に成功したことから、ある程度の計測を行える目途がたった。一方で小型化により問題点が、単に積分時間の増大のみであると当初は考えていたが、解像度の意味では遥かに複雑な問題を含むことがわかってきた。
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今後の研究の推進方策 |
現状の原理実証装置ではオシロスコープでトリガーごとにデータの書き込みを行っており、このデータ量と消費電力により屋外での運用が困難となっているため、小型検出器の読み出し回路について検討を行い、同時に開発を進めている小型ローバへ搭載し屋外での実証試験を行う。また火星での応用を目指し、火星における放射線環境を数値シミュレーションなどを通じて把握する。
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