火山ガス組成からマグマ脱ガス圧力変動を明らかにし、噴火の発生や火山活動推移過程をモデル化するために、マグマ脱ガス圧力変動推定手法の開発および観測に基づく解析を実施した。 阿蘇山、浅間山、桜島山において自動繰り返し連続観測および現地観測を実施し、火山ガス組成変動の把握を行った。 2013-2019年に桜島において実施してきた、セスナ機および無人ヘリコプターを用いた航空Multi-GAS観測および設置型Multi-GAS連続観測の結果の解析を行い、火山ガス組成およびその変動を推定すると共にその変動原因を解析した。観測されたCO2/SO2比は0.3から10以上と大きな幅を持ち、最大SO2濃度と負の相関を持つため、山頂付近に移流する低標高起源の大気の影響を受けており、CO2/SO2は0.4程度で一定と見なせることが明らかとなった。この結果は脱ガス圧力の変動が小さいことを示唆する。反面、SO2/H2S比は1-1000と非常に大きな変動を示し大きな圧力変動を示唆する。これらの矛盾を解消するためにはCO2/SO2比の観測・解析精度の向上とSO2/H2S比変動に与える大気の混入の効果の評価が必要であることが明らかとなった。 継続的な噴煙活動を行う火山の火山活動推移が、火道内マグマ対流における立つガス圧力の変動に起因することを検討するために、活動の特徴について、玄武岩質マグマの火山とより珪長質なマグマの火山の比較を行い、活動の相違性・類似性の検討に基づき活動の支配過程を評価した。低粘性の玄武岩質マグマ火山においては火道内マグマ対流脱ガスが支配過程であることが国際的にも認知されているが、高粘性のマグマでは異なる支配過程が提唱される場合が多い。しかし噴火様式や活動推移過程はこれらのマグマの火山でなだらかに推移しており、活動支配過程は同一であることを示した。
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