研究課題/領域番号 |
17H02957
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
東 信彦 長岡技術科学大学, 工学研究科, 学長 (70182996)
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研究分担者 |
高田 守昌 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (50377222)
本間 智之 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50452082)
東 久美子 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (80202620)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 氷床 / 氷 / クリープ / 転位密度 |
研究実績の概要 |
X線を用いたアイスコア中の転位密度の直接解析を実施するため、低温で測定可能なX線回折装置を開発した。これを用いて、転位密度測定技術を人工氷を用いて確立することを目指してきた。人工氷中の転位密度測定は、これまで中程度の大きさの結晶粒径を有する人工氷を用いて転位密度測定を行ってきたが、粒径(直径)が100μmを切るような微細粒の変形挙動は、中程度の大きさの結晶粒と異なることを明らかにしている。この微細粒のクリープ変形中に生じる転位密度の変化を定量化し、粒界拡散と転位すべりの関係を議論することを目指している。 当初氷から得られた回折パターンは、空間群P63/mmc、格子定数a= 4.519Å、c=7.357Å(@-20℃)の構造でフィッティングでき、その回折線の半値幅を利用して、転位密度測定を行ってきた。しかし、この構造でフィッティングできないピークが散見され、その理由を考えるのに時間を要してきた。原因として、氷をステージに指示する際に用いる「のり」の役割を果たす氷が影響を及ぼしていたことを突き止めている。この原因の一つに、試料ステージが最適な高さを保っていないことも明らかになり、現在、実体顕微鏡を用いた試料高さの調整について、装置改良を進めている。また、氷のクリープ変形については、粒径を微細化し、不純物を添加することで氷のクリープ挙動が変化することを見出し、Journal of Glaciologyに論文が掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置開発のトラブルや、実験担当者の体調不良などを理由に進捗は遅れているが、人工氷を用いた転位密度測定に成功しており、装置の改良、解析精度の向上を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
人工氷を用いたクリープ試験の実施、およびそのひずみ変化に伴う転位密度の変化を本手法を用いて定量化する。試料ステージの高さを精確に決定するために、実体顕微鏡を用いてX線回折が最適に生じる試料高さの調整を目指す。また、X線を用いた転位密度をmodified Williamson-Hallプロット等の解析手法を用いることで、精度高く求める手法も確立する。
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