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2018 年度 実績報告書

浮遊微粒子で覆われた惑星大気大循環と物質循環の力学

研究課題

研究課題/領域番号 17H02960
研究機関九州大学

研究代表者

山本 勝  九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10314551)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード地球流体力学 / 惑星大気
研究実績の概要

地形および放射が金星大気大循環に与える影響は十分に理解されていない.これらの影響を,Ikeda(2011)が開発した金星大気大循環モデルを用いて,太陽固定座標と地理座標から見た金星大気大循環構造を明らかにした.雲層より上層の大気では,太陽光加熱率が高く,8 m/sを超える強い帯状平均極向き流が見られる.雲頂付近では,太陽放射の加熱と赤外放射の冷却が局所的にバランスしており,放射の南北不均衡が駆動する帯状平均の子午面流は弱い.ジェットの赤道側では約1 m/sの極向き流が吹き,ジェットコア付近では潮汐波と傾圧波の極向き熱輸送による間接循環が形成される.帯状平均東西風に関しては, 雲頂高度付近で,約120 m/sの中緯度東西風ジェットと約90 m/sの赤道東西風が形成される.シミュレートされた太陽直下付近の水平風分布は,金星探査機あかつきの観測結果をよく再現している.太陽固定座標では,南北流とそれに関連した水平フラックスは,昼面のみの東西平均と昼夜両面の帯状平均との差が大きく,昼面のみのUV観測から帯状平均構造を推定するには注意を要する.特に,UV観測でハドレー循環を議論する場合,昼面だけの東西平均の観測値ではなく,潮汐波を組み込んだモデルで検証する必要があることを例証した.さらに,金星大気大循環における地形の効果を明らかにした.地形を導入することで高度10-20 kmの弱い安定層が形成される.また,Aphrodite Terra上空の雲頂で観測された東西風減速(Bertaux et al. 2016)は,山岳波の東西風の負偏差に対応することが示唆された.本年度は現実的な金星大気に関して上記の新しい知見が得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

臨界粒径を導入したモーメント法の計算コスト改善を行ったが,未だ輸送モデル導入には至っていない.しかしながら,金星大気およびその理想化実験における力学過程に関する研究成果やその途中経過を学会等で発表した (JpGU Meeting 2018; 2018年度日本気象学会秋季大会).地形および放射が金星大気大循環に与える影響に関する研究が学術雑誌に掲載された(Yamamoto et al. 2019, Icarus, 321, 232-250).

今後の研究の推進方策

これまで行った大気大循環モデル実験の結果を解析し,微粒子で覆われた惑星の大気大循環構造を明らかにする.大気大循環における帯状流および波動の相似性を理解するために,無次元パラメーターを用いて,自転が遅い天体や小さい天体における超回転で重要な赤道波動の理論的考察を進める.また,Ymamamoto et al. (2019)のモデルを高解像にした数値実験を行う.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Solar-locked and geographical atmospheric structures inferred from a Venus general circulation model with radiative transfer2019

    • 著者名/発表者名
      Masaru Yamamoto, Kohei Ikeda, Masaaki Takahashi, Takeshi Horinouchi
    • 雑誌名

      Icarus

      巻: 321 ページ: 232-250

    • DOI

      10.1016/j.icarus.2018.11.015

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Meridional wind component and horizontal heat transport of equatorial Kelvin wave in the Venus atmosphere2018

    • 著者名/発表者名
      Masaru Yamamoto
    • 学会等名
      JpGU2018
  • [学会発表] 大気大循環の惑星半径依存性とSmagorinskyモデルの影響2018

    • 著者名/発表者名
      盧 黎媛, 山本 勝
    • 学会等名
      日本気象学会2018年度秋季大会

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公開日: 2021-01-27  

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