研究課題
木星は共回転が支配する内部磁気圏を形成している。MHDの概念を適用すると、内部磁気圏の中で動径方向にプラズマを輸送する事は極めて困難である。木星には多数の衛星があり、特にイオには活発な火山活動があり、噴出した火山ガスが電離して共回転磁場に捕捉され、トーラス状の濃いプラズマ領域(IPT)を形成している。これまでの観測結果から、IPTは内部磁気圏の主要なプラズマ源となっている事が示唆されており、また、IPTが放射する極端紫外光のエネルギー源は解明されておらず、長年議論されてきた。ひさき衛星によるオーロラとIPTの同時観測の解析から、オーロラの突然増光が発生した後、10-13時間程度の時間差でIPTが増光している事を明らかにした。自転効果が支配的な木星磁気圏であっても、オーロラの変動を引き起こす赤道面内の領域(30-40 RJ離れた領域)から短い時間でIPTにエネルギーが注入されている事を明らかにした。イオの火山噴火と磁気圏に及ぼす影響について明らかにした。火山ガスの電離によるIPTのプラズマ密度の増加、IPTから内部磁気圏の外へのプラズマ輸送、オーロラの活発化、そして、内部磁気圏へのエネルギー注入の増大に至る一連の動きを明らかにした。IPTのプラズマ密度の増加からオーロラの活発化まで約20日間を要し、内部磁気圏から外側領域へのプラズマ輸送が拡散的なダイナミクスに支配されている事を示した。共回転が支配する磁気圏の内側にエネルギーや物質を外から注入することは不可能であると考えられていたが、本研究申請チームはプラズマの動径分布の導出や突発的に起こるIPTとオーロラの順次活発化の発見から、IPTの放射エネルギーの一部は内部磁気圏の外から拡散的に運ばれてきたエネルギー(高温電子)であるという証拠をつかみ、長年の問題に終止符を打った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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