研究課題
地球のバウショックで観測される高周波のホイッスラー波についての解析を進め,その微細構造について議論した.特に顕著な電子加速が見られるイベントについては,波動の偏波解析の結果から継続時間が数10ms程度のホイッスラー波束が散発的に見られ,その伝播方向は局所的な磁力線に平行・反平行で激しく変動することが分かった.また,本研究で構築した理論モデルとバウショック観測との予備的な比較を行った.衝撃波遷移層における高周波波動強度の増大,およびそれと同期した高エネルギー電子フラックスの増大など,理論と観測が定性的には良い一致を示すことが分かった.数値シミュレーション研究においては,2次元の粒子シミュレーション結果の解析から,高エネルギー電子加速にはホイッスラー波や,それよりも低周波・長波長のAlfven波が重要な働きをしていることを示唆する結果を得た.加速された電子の軌道はエネルギーの低い初期には高周波のホイッスラー波によって,ある程度エネルギーを得た後には低周波のAlfven波によって散乱されたと考えると本研究の理論モデルと定性的には整合的である.この過程で,散乱体として重要なホイッスラー波の励起過程を抑えるためにシミュレーションから得られた速度分布関数を用いた線形解析を試みたが,複雑な分布のため標準的な手法は使えないことが分かった.この結果を受けて,任意の速度分布関数について線形解析を行う手法を考案した.
2: おおむね順調に進展している
これまでのところでは新規理論の構築や,理論と観測データおよび数値シミュレーションとの比較についても概ね順調に研究を進めることが出来ていると評価する.
観測データ解析においては,定性的な一致が確かめられた理論との比較をより定量的に行うことが一義的には重要である.特に理論で予測されている最大エネルギーと電子の散乱効率との間の一対一の関係性が満たされているかどうかを評価することによって,より直接的に理論の実証が可能となる.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件)
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