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2017 年度 実績報告書

多地点からの地上大気光観測を用いたプラズマバブル成長過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17H02967
研究機関電気通信大学

研究代表者

細川 敬祐  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80361830)

研究分担者 齋藤 享  国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 電子航法研究所, 研究員 (40392716)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード超高層大気物理学 / 低緯度・赤道域電離圏 / プラズマバブル
研究実績の概要

市販の暗視カメラを活用し,小型で簡易な単色大気光イメージャを,従来の 10 分の 1 の超低コストで開発する.安いコストと可搬性を武器に,このイメージャを低緯度・赤道域の複数地点に設置することで,電離圏 F 領域に出現するプラズマバブルの広域モニタリング観測を行う.これにより,プラズマバブルの緯度方向の成長,経度方向の伝搬を支配するダイナミクスを明らかにするだけでなく,衛星測位への影響が指摘されているプラズマバブルのリアルタイム監視システムへと発展させる.また,イメージャの開発・運用に関する情報を広く公開し,「理科教育の教材」や「環境モニタリング機器」として広く普及させ,将来的な超多点大気光観測網の構築に繋げる.

本年度は,前半に,小型大気光イメージャシステムの製作と較正を行った.小型イメージャは,暗視カメラと魚眼レンズ,光学フィルターから構成されるが,これらを 3 セット調達し,小型 PC を組み合わせて,観測システムを 3 式組み上げた.国立極地研究所にある光学機器校正施設において,絶対感度,波長透過特性の校正を行い,絶対発光強度を算出するためのデータを取得した.11 月に石垣島に出張し,電子航法研究所(ENRI)の施設に小型イメージャの設置を行った.また,1 月には台湾の台南市にある台南天文台に同じ小型イメージャの設置を行った.これらに加え,沖縄本島大宜見にある情報通信研究機構(NICT)の施設に小型イメージャを設置するための観測箱を製作し,平成 30 年度に予定している設置のための準備を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述の通り,本年度は,前半に小型大気光イメージャシステムの製作と較正を行い,国立極地研究所の光学機器校正施設でキャリブレーション作業を行うことで,小型イメージャが微弱な夜間大気光を撮像するために十分な性能を有することを確認した.11 月に石垣島に出張し,電子航法研究所(ENRI)の施設に小型イメージャの設置を行った.石垣島では ENRI が GPS 測位信号の観測を行っており,今後は大気光イメージャのデータと GPS データを組み合わせることで,プラズマバブルの出現が測位に与える影響に関する研究を行っていくことが期待できる.また,1 月には台湾の国立成功大学陳博士との共同研究として,台南市の台南天文台に小型イメージャの設置を行った.石垣島の台南のイメージャはその視野が重複するが,複数のイメージャによってプラズマバブルを捉えることで,その立体構造を明らかにすることが期待できる.これらに加え,沖縄本島大宜見にある情報通信研究機構(NICT)の施設に小型イメージャを設置するための準備作業も進めた.イメージャはすでに製作されているが,このイメージャを収納するための観測箱(ハウジング)を設計・製作する必要があるため,現地の下見を入念に行いハウジングの製作を完了した.また,タイのチュンポンにイメージャを設置するための準備も行っており,KMITL のポンチャイ博士に小型イメージャのシステム 1 式を送り,設置環境の検討を進めて頂いている.

今後の研究の推進方策

5 月に沖縄本島大宜見にある NICT の施設にイメージャの設置を行う.すでに観測箱の準備は整っており,ネットワーク経由でイメージャの運用ができるような体制を構築する予定である.沖縄本島へのイメージャ設置が完了すれば,沖縄本当,石垣島,台南の 3 台の観測視野が重複するイメージャのデータを組み合わせて,バブルの緯度方向発展を明らかにすることができる.並行して,タイのチュンポンへのイメージャの設置を進める.すでに,現地の共同研究者である KMITL ポンチャイ博士にはイメージャの観測テストをしてもらっており,チュンポンの観測サイトの準備ができ次第,設置作業を実施する予定である.国内およびタイへのイメージャ設置作業に加えて,フィリピンや太平洋島しょ領域へのイメージャ設置を検討していく.フィリピンへの設置については,フィリピンの研究者と設置に関する打ち合わせを始めたところである.また,太平洋島しょ領域については,SRI International の Tsunoda 博士と共同で,ポナペ島へのイメージャ設置を行うことを検討している.設置作業と並行して,データベースの整理,および得られたデータの解析を行うことで,プラズマバブルの緯度方向の成長,経度方向の伝搬を支配するダイナミクスを明らかにするだけでなく,衛星測位への影響が指摘されているプラズマバブルのリアルタイム監視システムを構築していく.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] 国立成功大学(台湾)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      国立成功大学
  • [国際共同研究] KMITL(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      KMITL
  • [国際共同研究] SRI International(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      SRI International
  • [学会発表] 多地点からの大気光観測によるプラズマバブルの広域撮像2017

    • 著者名/発表者名
      高見 晃平, 細川 敬祐,斎藤 享, 小川 泰信, Koichi Chen, 穂積 裕太, 塩川 和夫, 大塚 雄一
    • 学会等名
      中間圏・熱圏・電離圏(MTI)研究集会
  • [学会発表] Simultaneous optical observations of plasma bubbles from multiple stations2017

    • 著者名/発表者名
      Tatami K., K. Hosokawa, S. Saito, Y. Ogawa, C. Chen, Y. Hozumi, A. Saito, K. Shiokawa, Y. Otsuka
    • 学会等名
      地球電磁気・地球惑星圏学会

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-08-05  

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