研究課題/領域番号 |
17H02970
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
松岡 彩子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (80270437)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 宇宙科学 / 宇宙空間 / プラズマ・核融合 / 磁気圏・電離圏 / 宇宙物理 |
研究実績の概要 |
太陽系内で普遍的に起きている波動粒子相互作用によるプラズマ加熱機構の解明のために、磁場擾乱の高時間分解波形を取得する磁場観測器を開発し、太陽系内を航行する宇宙機への搭載を目指している。観測器の小型・省電力化のために、フラックスゲートセンサ信号検出を行う回路部分を集積化したASIC (Application Specific Integrated Circuit、特定用途集積回路)、 アモルファスワイヤをコア材として用いた基本波型直交フラックスゲートセンサ(FM-OFG)およびそれを使用した観測器回路の開発を行っている。 2018年度の繰り越し経費で行ったアナログ回路ASICチップのパッケージング設計に基づき、専門の技術を有する業者の支援によりアナログ回路ASICチップのパッケージングを行った。前年度に製造した試験基板にこのASICチップパッケージを搭載して動作試験を行い、正常に動作することを確認した。引き続き次年度に、更に詳細な性能試験(ノイズ、ループレスポンス、非直線性など)を行う予定である。また、従来のフラックスゲートセンサよりも更なる小型・省電力が実現できるFM-OFGセンサの信号検出回路の試験基板を業者の支援を受けて製作し、動作確認を行った。信号検出回路の検波・バイアススイッチングには3つの異なる方式を試作し、そのうちの1つの方式では一部の帯域を除く周波数で目標とする低ノイズの信号検出が達成されることを確認した。一方、一部の帯域の周波数では観測を行う上で問題となるノイズが出現しており、試験環境を含め、その原因の特定と対処は次年度の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、(1)アナログ回路ASICチップのパッケージング化とそれを試験基板に搭載しての試験、および、(2)基本波型直交フラックスゲートセンサ(FM-OFG)の回路の試験基板の製作と動作試験を行った。 (1)のASICチップに関しては、最初のパッケージングの試験では、ASICチップの送付における連絡齟齬で間違った設計のチップを使ってしまい、動作確認の不具合調査で判明した。次のパッケージは正しいチップを使用したが、正常な動作をしなかった。パッケージのX線検査等を行い断線の有無を調査したが原因は不明であった。不具合を発生させる可能性のある要素を排除して3つめのパッケージを製造し、ようやく正常動作が確認できたが、予定より大幅に遅れてしまった。2019年度夏に実験室の改修工事があり、その間は試験が出来なかったことも遅れの要因となった。 (1)と(2)に共通して関係する遅延の理由としては、研究代表者が京都大学に移籍することが秋に内定し、その後は所属機関における引継ぎや移籍先の準備などにかなり時間を取られてしまった。また、3月はじめに移籍して後は、試験機材は一式全て旧所属機関にあること、旧所属機関に出張するための旅費が残っていなかったことから、研究活動がほぼ停止してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の京都大学への移籍後も旧所属機関の実験室を使用して試験が出来るように、共同研究員手続きを完了している。しかし、5月時点では、新型コロナ感染症による旧所属機関への入構禁止が続いており、試験を再開する目途が立っていない。県をまたぐ移動と入構禁止が解除され次第試験を再開し、アナログ回路ASICチップパッケージを搭載した研究代表者の京都大学への移籍後も旧所属機関の実験室を使用して試験が出来るように、共同研究員手続きを完了している。しかし、5月時点では、新型コロナ感染症による旧所属機関への入構禁止が続いており、試験を再開する目途が立っていない。県をまたぐ移動と入構禁止が解除され次第試験を再開し、アナログ回路ASICチップパッケージを搭載した試験基板の詳細な動作試験を完了する予定である。特に8月は大学の教務がないため時間を取って集中して試験を行うことが可能である。 基本波型直交フラックスゲートセンサ(FM-OFG)の回路の試験基板の動作試験も、支援業者のテレワークが続いているため再開の目途が立っていない。状況が改善され次第、動作試験を再開し問題を解決していく。 一方で、当初の計画では、2020年度中に次のASICチップ設計と製造を行う予定である。このためには、アナログ回路ASICチップパッケージを搭載した試験基板の詳細な動作試験を年度のかなり早い時期に完了する必要があるが、現在の進捗状況では時間的にかなり困難であることが予想される。状況に応じ研究内容を変更、あるいはASICチップ設計と製造を延期することを検討する。
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