研究課題/領域番号 |
17H02976
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
外田 智千 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (60370095)
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研究分担者 |
堀江 憲路 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (00571093)
日高 洋 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10208770)
木村 純一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 分野長代理 (30241730)
谷 健一郎 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究員 (70359206)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地殻進化 |
研究実績の概要 |
・SHRIMP-IIe/AMCによって高精度で安定した酸素同位体データを得るために、よくキャラクタリゼーションのなされた試料・標準試料を用いて、装置の最適状態への調整と各種分析設定条件の選定のための基礎実験をおこなった。そのための岩石薄片作製ならびに初期観察をおこなうとともに、国立極地研究所所長を9月に任期満了で退任した白石和行博士を非常勤の特任職員として雇用し、南極、南アフリカ、スリランカなどで過去に採取された試料や初期解析データの出ている試料について検討をおこなった。特に、2016-2017年に南極地域観測隊で採取された太古代ナピア岩体の内陸の未調査露岩の試料について、予察的なジルコンU-Pb年代測定をおこなった。 ・地球惑星科学連合大会(JpGU)において、本研究課題のベースとなる、南極の地殻進化に関する研究発表、南極大陸に産する太古代の高度変成岩中のジルコン酸素同位体の移行挙動についての予察的報告、U-Pb年代・微量元素組成・酸素同位体組成の連続測定手法とその意義についての報告とともに、ジルコンの酸素同位体分析に関する情報収集をおこなった。 ・本邦の伊豆-小笠原弧と伊豆衝突帯に産する火成岩に関する情報収集するために、海洋研究開発機構の航海(YK17-14)に参加し、西の島周辺海域の海洋観測調査を行った。 ・Goldschmidt Conferenceにおいて、U-Pb年代にもとづく変成作用の時間履歴と、ジルコンへの希土類元素分析分配挙動について報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は基礎実験と試料選定を中心として、初期解析を含めておおむね順調に研究をすすめた。
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今後の研究の推進方策 |
・平成29年度に引き続き、本邦の伊豆-小笠原弧と伊豆衝突帯に産する島弧火成岩試料の解析、ならびに、南極大陸に産する太古代~原生代の火成岩・変成岩試料の解析をすすめる。 ・酸素同位体分析(SHRIMP-IIe/AMC)とHf同位体分析(LA-MC-ICP-MS)では、使用可能な試料形態が異なることから、酸素同位体分析を含むSHRIMP分析で使用する試料を改良し、酸素同位体からHf同位体への円滑な分析過程を確立する。 ・必要な分析精度・確度の保証を得た上で、多種同位体分析のための試料の基礎解析と分析試料調整をおこなう。選定・準備した試料を用いて、U-Pb年代測定、希土類元素分析、微量元素存在度分析、高精度酸素同位体分析をおこない、データ、及び、分析条件等を検証する。酸素同位体分析データによるフィルタリングによって厳選した試料・部位を対象として、Hf同位体分析、ならびに表面電離型質量分析計を用いたジルコンのNd同位体分析を実施する。 ・Nd同位体分析の分析精度・確度についてさらなる検討を行うことを目的として、詳細なU-Pbジルコン年代が既報であるカナダ・Acasta片麻岩や南西グリーンランドItsaq片麻岩複合岩体に応用する。
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