研究課題/領域番号 |
17H02977
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
對比地 孝亘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70597343)
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研究分担者 |
遠藤 一佳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80251411)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 爬虫類 / ヘビ類 / オオトカゲ類 |
研究実績の概要 |
まず爬虫類の胚発生の観察に関するプロジェクトについては、四肢を失い伸長した体を持つコーンスネークと、その比較の対象として四肢の発達したヒョウモントカゲモドキとソメワケササクレヤモリの繁殖のためのセットアップを完成し、受精卵の採取を開始した。本年度はヒョウモントカゲモドキとソメワケササクレヤモリそれぞれについて数個づつしか卵を得ることができず、またコーンスネークについては卵を得ることができなかった。そのため、後者の代換として、研究施設より受精卵を持つシマヘビ5個体を購入し、その卵について定期的にサンプリングし、ディープフリーザーに保存した。また、胚観察の技術習得のため、Yale UniversityのBhart Anjan-Bhullark研究室に2ヶ月弱滞在し、胚の固定法、その透明化および組織を区別する免疫染色法(CLARITY)、そのような胚標本の共焦点レーザー顕微鏡を用いたデータ取得法、さらにソフトウエアVGStudiio Maxを用いた各組織の立体構築法を習得した。また実際にウズラとコーンスネークについて、筋肉、神経、軟骨を標識した胚標本を作成し、そのレーザー顕微鏡データを取得した。さらに、同研究室と共同の計画を立ち上げ、彼らがすでに保持している同様のデータを共有してもらうことができた。また成体の状態の解剖学的観察については、オオトカゲ類の中で原始的な特徴を保持していると期待されるLanthanotusの解剖を行い、中軸筋肉系については他のオオトカゲ類と共通している特徴が多いことを発見した。 化石標本については、Yale University Peabody Museum of Natural Historyにおいて、基盤的肉鰭類、Diadectes(有羊膜類の姉妹群)、空椎類などの古生代の分類群について、頸部および頭部の観察を行い、写真データを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Yale Universityの滞在中に、研究遂行に必要な様々な技術を習得し、またデータの共有をすることができた。同時に、同大学付属博物館において、四肢動物類の原始的な状態を把握する上で重要な分類群の複数種についてデータを得ることができた。一方で、ラボにおいて爬虫類の受精卵を安定して得られる段階までは至っておらず、そのための工夫に想定以上に時間がかかった。また化石種についてデータを得るための海外渡航の時間がままならず、この点についても当初よりも計画の遅れが明らかである、
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今後の研究の推進方策 |
まずYale Universityの共同研究者共より得たウズラ、ヤモリ、ヘビの胚データをソフトウエアVGStudio Maxを用いてセグメテーションすることにより、筋肉、骨格、神経系の形態発達のシークエンに関するデータを効率的に得る。また同大学で習得した技術を用いることにより、胚の固定や観察のプロセスをかなり効率的に行うことができるようになると期待される。一方で、申請プロジェクトの中では化石分類群のデータ取得がもっとも遅れていることを鑑み、比較的距離のお互いの間の距離が近いヨーロッパの研究機関(University of Cambridge、University of Copenhagen、Museum National d’Histoire Naturelle, Parisなどを)一回の旅程に含めて集中して訪問することにより、古生代の基幹的四肢動物類から派生的な分類群まで系統樹を幅広くカバーする時間的に効率的な標本調査を行う。
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