研究課題/領域番号 |
17H02986
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 高圧実験 / 熱測定 / ペロブスカイト / スピネル / ポストスピネル |
研究実績の概要 |
1.MgCr2O4-Mg2SiO4系の10~28GPa、1400℃と1600℃の相関係を決定し、共存する各相の組成分析を行った。それらのデータに基づいて、Mg2SiO4オリビン+MgCr2O4クロマイトが13GPaで反応し、圧力とともに鉱物組合せを変えて、27GPaまでにペロブスカイト型相+カルシウムタイタネイト型相+岩塩型相の3相へと変化するまでの間における、各鉱物組せの密度と鉱物量比を組成分析値から計算した。その結果は、「超高圧クロミタイト」が上部マントル内を循環するモデルと調和的であった。 2.スピネル型Mg2TiO4及びFe2TiO4の高圧相関係を28GPa、1600℃まで決定した。スピネル型Mg2TiO4はMgTiO3(イルメナイト型、次いでペロブスカイト型)+MgOに分解し、さらに2MgO+TiO2に分解するが、Fe2TiO4ではFeTiO3+FeOに分解した後、カルシウムタイタネイト型Fe2TiO4に転移することが明らかになった。 3.CaSiO3ペロブスカイトの安定領域を精密に決めるため、18GPa、1800℃までの条件でCa2SiO4ラーナイト+CaSi2O5タイタナイトからCaSiO3ペロブスカイトへの相転移境界線を精密に決定した。またCaSiO3高圧相の熱力学的研究の一環として、CaSiO3ウォルストロマイトの熱容量と熱膨張率を測定した。 4.スピネル型MgFe2O4の高圧相関係を調べ、MgFe2O4高圧相の回収相の結晶構造解析を行い、それがカルシウムフェライト型に類似した新規構造を持つ相であることを明らかにした。 5.スピネル型FeAl2O4の高圧相転移を35GPa、1800℃まで調べ、その圧力温度条件まではFeO+Al2O3が安定であることを明示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スピネル型MgFe2O4、Mg2TiO4、Fe2TiO4に関して、新たにポストスピネル相転移の様式を明らかにし、高圧相を確定したことは重要な進展である。
|
今後の研究の推進方策 |
遷移層~下部マントルの圧力温度条件下で安定なCaSiO3ペロブスカイトの詳細な相関係を、高圧実験と熱測定・熱力学計算の両面から明らかにする。MgAl2O4-KAlSiO4系の高圧相関係を調べ、六方晶アルミニウム含有相の安定領域を広い圧力温度範囲で確定する。最終年度として、研究成果全体の取りまとめを行う。
|