研究課題
1.下部マントルに沈み込んだ玄武岩質地殻の主要構成鉱物であるカルシウムフェライト型MgAl2O4を28GPa、1800℃で合成した。その熱膨張率を一気圧下で室温から700℃まで測定し、この相を含むMgAl2O4の高圧相平衡関係を熱力学計算で決定した。2.MgAl2O4組成では27~28GPa、2200℃以上で、カルシウムフェライト型とは異なる相が回収されることが従来から分かっていたが、その構造は未知であった。今回27GPa、2500℃から回収した単結晶の構造解析を行った。その結果、この相はカルシウムフェライト類似構造を持つが、Mgが5配位、Alが5、6配位を取る新規構造を持ち低密度であることが明らかになった。そのため、高温高圧下で安定なカルシウムフェライト相が急冷減圧過程でこの構造に変化したことを考察した。3.下部マントルに沈み込んだ玄武岩質地殻において安定なNAL相に関して、MgAl2O4-KAlSiO4系の高圧相平衡を5~28GPa、1500℃の条件で詳細に調べた。その結果、16GPa以上でMgAl2O4成分が60~65 mol%でNAL相が安定になることが示された。従来のMgAl2O4-NaAlSiO4系、MgAl2O4-CaAl2O4系の結果と組合せ、超深部ダイヤモンド中のNa、Kを含むアルミニウム含有鉱物がマントル深部ではNAL相であったと推定された。4.CaSiO3ウォラストナイト相とウォルストロマイト相のエンタルピー測定を行い、従来の熱測定データと組合せ、熱力学計算によりCaSiO3ウォラストナイト-ウォルストロマイト転移の高圧相平衡関係を決定した。5.Fe2SiO4スピネル型高圧相が約15GPa、1200℃でFeOウスタイトとSiO2スティショバイトに分解する転移の相境界線が緩い負の勾配を持つことを、高温高圧実験により明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Physics of the Earth and Planetary Interiors
巻: 310 ページ: 106632~106632
10.1016/j.pepi.2020.106632
American Mineralogist
巻: ー ページ: ー
10.2138/am-2021-7619
10.2138/am-2021-7587
https://www-cc.gakushuin.ac.jp/~901334/homepage/AkaogiHP-English.htm