研究課題
本研究では、天体衝突によって物質が高速度で放出される衝突剥離過程の詳細を解明し、惑星間の物質輸送に関わる諸問題へ応用することを目的とする。天体衝突による物質の放出過程のうち、噴射過程と掘削過程については詳細な研究がされているが、惑星重力を振り切る程度の速度を持った放出物が大量に放出される衝突剥離過程については、実験的・理論的な困難さから、研究例は少なく、多くのことがわかっていない。本研究では、この困難さを真正面から克服し、衝突実験と衝突数値計算の2方面から衝突剥離過程の詳細を明らかにする。前年度のポリカーボネイトを用いた衝突実験と衝突数値計算から、衝突剥離過程で起こる「後期加速メカニズム」が放出物の速度分布に極めて重要であることがわかったので、最終年度である2019年度では、惑星科学の諸問題で重要となってくる岩石物質(特に玄武岩)を用いた衝突数値計算を行った。その結果、岩石物質であっても、衝撃波通過後に「後期加速」が起こることがわかった。さらに、正面衝突よりも斜め衝突の方が、後期加速がより広範囲で起きることがわかった。このことは、一般的には正面衝突よりも斜め衝突の方が起きる確率が高いため、低衝撃圧力にもかかわらず惑星の脱出速度を超えるような放出物が従来考えられていたよりも多いことを意味する。これらの結果を、実際に火星上で起きたと想定される隕石重爆撃を想定し、火星表面からの放出物の定量的な議論を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 3件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
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