研究課題
ギガバール圧力発生のために,2つの実験的アプローチによる研究を実施し,超高圧力発生に必要な物理機構の解明を行った.レーザー照射によって生成される古典的な熱伝導を介したアブレーションによる高圧力発生においては,古典的な熱伝導のほかに平均自由行程の比較的長い高速電子が重要な役割を果たす.これまでに高速電子と超圧力発生の因果関係を本課題では明らかにしてきたが,今年度はこの高速電子の発生メカニズム,とくにレーザープラズマ相互作用に着目し,高速電子の発生条件と超高圧力発生への寄与を多面的に評価した.実験ではレーザーのパルス時間波形を制御した条件下でレーザープラズマ相互作用によって発生する高速電子のほか,レーザープラズマ相互作用による散乱光の計測を実施し,レーザー生成プラズマのスケール長と高速電子発生の定量的評価,とくに顕著に起こる対流誘導ラマン散乱に関する重要な知見が得られた.もう一つの超高圧力発生法として,ナノワイヤーアレイ構造をもった試料による高エネルギー密度プラズマ閉じ込めに関する研究も並行して進めている.この手法では,超高強度レーザーがワイヤー間を浸透することにより高エネルギー密度状態を生成することが可能とされているが,2次元PICシミュレーションの解析を行ったところ,ワイヤー内を伝播する高速電子によって発生する超高強磁場によってワイヤー間の高速電子が捕捉され,高エネルギー密度状態が閉じ込められることを示唆する結果が示された.これを踏まえて試料の裏面側の高速電子を実験的に観測したところ,通常の平板と比較してナノワイヤーアレイ試料の場合は裏面側の高速電子量が減少する結果が得られた.これにより,ワイヤーアレイ構造による磁場が超高圧力発生に影響を及ぼすことを証明することができた.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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