研究実績の概要 |
本研究では、ナノ粒子薬輸送システム(Drug Delivery System: DDS)によって細胞内に取り込まれた抗がん剤分子の細胞内分布を明らかにし、薬効メカニズムを明らかにすることを目的としている。これまで、「メソポーラスシリカナノ粒子薬輸送システム」の作成し、カチオン性高分子( ポリエチレンイミン(PEI))を用いた表面修飾法を確立した。さらに、肺がん細胞に親和性のあるリガンドを表面に修飾することで、肺がん細胞に特有にDDS粒子が取り込まれることを見言い出した。これにより、本事業のマイスストーンである「特定のがん細胞への選択的な薬輸送」、「リソソームからの脱出」、「高効率な薬輸送システム」を達成した。細胞内に取り込まれた薬輸送システムを光学顕微鏡及び透過型電子顕微鏡により追跡することにより、細胞内挙動の追跡に成功した(Sci. Rep., 2019, 9, 2666. ) (課題A)。また、「細胞内での薬分子-生体分子間相互作用のナノワイヤー増強ラマンによる検出」の達成に向けた細胞内増強ラマンプローブの開発を行い、(Chem. Common. 2019, 55, 11630-11633, Nano Lett. 2020, 20, 4, 2460-2467)、細胞内での増強ラマン散乱スペクトルの検出を可能にした(課題B)。本装置を用いて、DDSを用いた場合の、抗がん剤分子とDNAとの相互作用を時系列で解析する手法を確立した。
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