1.エステル基の脱着による蛍光ON-OFF特性を活用した新規なバイオイメージング材料の創成:前年度の成果を元に3つのテトラエチレングリコール鎖を導入した水溶性2-スルファニルヒドロキノン二量体を用いた、リアルタイムバイオイメージング材料合成に着手した。テトラエチレングリコール鎖をエーテル結合とスルホニルエステルを介して導入した誘導体の合成を進めた。テトラエチレングリコールスルホン酸は、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルチオ酢酸エスエルに変換し、oxoneを用いて合成した。目的の化合部の構造や物性は現在検討を進めている。今後は残った1つのフェノール性水酸基を調査アルキルエステルとし、リパーゼなどとの反応によって蛍光が発生するかどうかについて検討を進める予定である。 一方2-スルファニルヒドロキノン二量体のテトラメチルエーテルの4つのメトキシ基の選択的脱保護法を用いて3つのメトキシ基を外した誘導体の酸化還元に対応した蛍光特性を検討した。この誘導体は一方のベンゼン核がヒドロキノンなので、酸化剤によってヒドロキノンとキノンが直結した化合物に変換できる。メタ過ヨウ素酸ナトリウムを用いると、酸化は定量的に進行し、蛍光特性が消滅した。一方酸化されたキノン誘導体にアスコルビン酸を作用させると数分で定量的に元のスルファニルヒドロキノン二量体へと変換でき、蛍光が速やかに復活した。すなわちヒドロキノン-キノンの酸化還元に対応した蛍光センサーとして利用が期待できることがことがわかった。 2.2-スルファニルヒドロキノン二量体を基本構造とする大環状デルタアレーンの誘導体合成とそのホストゲスト化学への新展開:デルタアレーンの合成の解決のためのアレーンジチオールの合成法として用いているNewman-Kwart転位の改良について引き続き検討を進めている。
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