研究課題
これまでとは全く異なる戦略“多孔性骨格を非芳香族配位子・ゲストで構築し、アルケンの二重結合の寄与を極力無くす”により、不飽和炭化水素アルケンよりも飽和炭化水素アルカンを選択的に吸着する多孔性金属錯体を系統的に合成し、その選択性発現の機序を構造・吸着特性評価によって明らかにするとともに材料設計指針を提出し、機能開拓を進めることが本研究の目的である。構造自由度の高い金属錯体を基盤物質に据え、①非芳香族部位から構築される細孔壁面を有する多孔性金属錯体を分子設計し合成する、②アルカンガスと非芳香族性細孔壁面との間に相対的に強い分子間vdW相互作用を発現させる、③その結果、高選択的アルカン吸着を実現させる、という指針の下、研究を進めた。最終年度は、昨年度確立した非芳香族部位ブトキシ基を有する新規有機配位子を大量合成し、それを用いて多孔性金属錯体の合成を行った。得られた錯体は、すでに構造決定されている非芳香部位を有しない有機配位子のみを含む多孔性金属錯体と同様の多孔性構造をもつことが粉末X線回折測定の結果から明らかとなった。低温窒素吸着測定から、ブトキシ基導入後も細孔が存在することが分かった。さらに、室温におけるプロパン・プロピレン吸着特性評価を行ったところ、40kPa付近までアルカンであるプロパンがアルケンであるプロピレンよりも吸着量が高い、すなわちプロパン選択吸着が観測された。以上、三年間の研究期間内で目的のアルカンを選択的に吸着する多孔性金属錯体の開発を達成することができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (9件)
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