国際共同研究により,エレクトロクロミック金属錯体ナノシート(中国),クリックケミストリーを利用したナノシート合成(フランス),金属―金属相互作用を有する発光性錯体(ドイツ)の構築を行い,学術論文として発表した. 筆者が開発した金属錯体ナノシートであるNiDTの誘導体として,中心金属がPtであるPtDTを合成し,その水素発生反応(HER)の電極触媒活性を明らかとした.さらには,金属錯体ナノシートの半導体光触媒におけるHER助触媒としての利用を追究した.NiDTの類縁体であるNiBHTをHER助触媒として採用し,代表的な光触媒であるCoOx/SrTiO3との複合系の追究を行った.複合系に紫外光を照射したところ,定常的な水の完全分解を示した.対照的にPtを助触媒とした系では,H2とO2の蓄積に伴い正味の水分解反応が停止した.NiBHTは光触媒上におけるHERを加速する一方,発生した水素と酸素からの水逆生成反応,および酸素還元反応を抑制することで定常的な水分解を実現することを実験および理論の両面から明らかとした. 金属錯体ナノシートやグラフェンの同素体グラフィジインに関する総説・解説記事・書籍を執筆した.
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