今後の研究の推進方策 |
芳香族複素環化合物の合成研究を継続するとともに,これを組み込んだヘリセンオリゴマーを開発する.合成したオリゴマー分子の二重ラセン形成を検討する.エチニルオリゴマーのP-体オリゴマーとM-体オリゴマー擬鏡像体を混合すると, 生成したヘテロ二重ラセンがさらに繊維状に集合体形成して網目構造の中に溶媒が取り込まれてゲル化する.末端置換基を変えると,リオトロピック液晶ゲルを形成した.いずれも二重ラセンの自己組織化によって生成した繊維状構造が溶媒を取り込んで固化した物質である.誘導体を合成して,この詳細をさらに検討する.水溶性二重ラセン化合物をリポソーム膜に規則的かつ位置特異的に配置した不均一物質系を合成する.また,多様なヘリセンオリゴマーの二重ラセンが自己組織化による分子集合体形成を起こすことを確認する. 合成した二重ラセン会合体の分子集合体による不均一物質の機械的強度,発光,着色,多層系ゲル形成などの性質を詳細に検討する. また, 熱, 光, 圧力, pH, 磁場などの物理的刺激, キラルな小分子などによる化学的刺激応答性を調べる. 具体的には,リオトロピック液晶ゲルから溶媒を取り除くと,センチメートルサイズの均一で異方的なフィルムを与える.このような二重ラセン会合体分子集合体による異方性物質の性質を検討する. 不均一物質系における二重ラセン分子会合体の動的機能について検討する.具体的には1)機械的刺激によるキラル対称性の破れ,2)リポソームの熱応答と形状変化,3)異方的フィルムおよび繊維の熱応答,4)遷移金属触媒反応などを取り上げる.
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