研究課題/領域番号 |
17H03053
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
布施 新一郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00505844)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ペプチド / 無保護アミノ酸 / マイクロフロー / 混合酸無水物 / 瞬間混合 |
研究実績の概要 |
近年、ペプチドは医薬品としての需要が急激に高まっている。しかし、ペプチドの最も一般的な化学合成による供給は、夾雑物を多く生じる縮合剤や保護基の利用に依存しており、プロセス化学上の最大の問題とされるほど原子効率が低い。本問題を解決すべく、本申請研究では「保護基を用いない高原子効率のマイクロフローペプチド鎖伸長法の開発」を目指した。 H29年度は、マイクロフロー法を用いる混合酸無水物調製条件の確立と、遊離のアミノ酸の縮合法の確立の二点を目的とした。カルボン酸として適度に嵩高く、ラセミ化し易く、酸性条件に弱いBoc基をもち、かつUV吸収をもち検知し易いセリン誘導体を用いた。これは、酸に弱いアミノ酸やラセミ化し易いアミノ酸を用いてもアミド化できる手法の開発を目指すためである。セリン誘導体と塩基の溶液を片方のシリンジポンプからマイクロミキサーに導入し、もう片方のシリンジポンプからクロロギ酸アルキル溶液を導入した。得られた反応液は過剰のイソプロピルアミンを含む溶液へ注ぎ入れて安定なアミドへ変換し、NMR解析により収率を求めた。検討の結果、高収率で混合酸無水物を調製できる条件の確立に成功した。 続いて、最適化した条件により混合酸無水物を調製し、これに対して遊離のアミノ酸を反応させることによるジペプチドの合成を目指した。本反応においてはラセミ化の抑制が最も重要であったため、生成物のHPLC解析を実施してラセミ化の進行について定量的に解析した。特にラセミ化に大きく影響すると考えられる塩基や溶媒の種類、温度について検討した結果、ラセミ化を抑制しつつ遊離アミノ酸を連結できる手法の確立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度は、マイクロフロー法を用いる混合酸無水物調製条件の確立と、遊離のアミノ酸の縮合法の確立の二点を目的としたが、その双方について目的を達した。概ね予定通りに研究は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、H30年度はトリペプチドの合成を検討する。カルボン酸としてジペプチドを用いて反応することとなるが、保護基の利用により副反応を抑制することが不可能となるため、これまでの検討と比較して格段に難度が向上する。条件を網羅的に検討することで解決できるものと考えている。
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