研究課題
令和1年度(平成31)年度研究として,木質夾系からリグニンを選的に認識して分解を行う人工酵素の実現を目指した研究を行った。具体的には,前年度に発見したリグニン親和性ペプチドについて,リグニン認識能の定量評価を行った。具体的にはソーダリグニン,MWLへのリグニン親和性ペプチドの親和性について光異方性蛍光法を用いて定量評価した。ここでは我々が2017年に発見した12残基ペプチドC416にローダミンを導入したペプチドを用いた測定に加えて,ファージディスプレイを用いるC416ペプチド探索の過程で見出されたリグニン認識に必須の5残基C416ES5にローダミンを導入したペプチドを合成して用いた。その結果,いずれのペプチドにおいても,リグニンに対して高い親和性を示すこと,また親和力がリグニン溶液のpHに依存して変化することが明らかになった。後者の原因として水素結合性のアミノ酸残基とリグニン中の水酸基等の相互作用が考えられ,このことはリグニン認識に水素結合が重要な役割を果たしていることを示唆する結果である。続いて,木質夾雑系(セルロース,ヘミセルロース,リグニン)からの選択的なリグニン酸化分解と,精密酸化分解による有用芳香族物質生産を可能とする人工酵素の開発を目的として,上記のペプチドにリグニン酸化能を示すRu触媒を結合したRu-結合型C461およびRu-結合型C416ES5を合成した。現在,これらペプチド人工酵素のリグニンに対する親和性の定量評価,H2O2を用いる酸化分解反応,マイクロ波照射による触媒活性化に基づく木粉分解反応について検討を進めている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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