研究課題
光学活性な化合物はエナンチオマー間で異なった生理活性を示す場合があり,一方のエナンチオマーのみを選択的に合成する手法,すなわち触媒的な不斉合成反応の開発は,有機化学において最も重要な研究課題の一つであり, 非常に活発な研究が世界中で繰り広げられている。研究代表者は,(R)-ビナフトール由来のキラルリン酸がキラルブレンステッド酸として優れた不斉触媒能を示すことを2004年に見出し,その後,キラルリン酸を用いた不斉触媒反応の開発研究を精力的に行っている。本研究においては,キラルリン酸を用いた効率的な不斉触媒反応の開発を目指して研究を行なった。(1) トリフルオロメチル基の置換したN-Hケトイミンに対するFriedel-Craftsアルキル化反応:キラルリン酸触媒により,インドール,ピロール,ジヒドロインドール等の複素環化合物とトリフオロメチル基の置換したN-HケトイミンとのFriedel-Craftsアルキル化反応が効率良く進行し,対応する付加体が高い光学純度で得られた。(2) トリフルオロメチル基の置換したニトロアルケンに対するインドールのFriedel-Craftsアルキル化反応: キラルリン酸触媒カルシウム塩をキラルルイス酸触媒として用いることにより,トリフルオロメチル基の置換したニトロアルケンに対するインドールのFriedel-Craftsアルキル化反応が効率よく進行し,対応する付加体が高い光学純度で得られた。(3) ベンゾチアゾリンを還元剤として用いた,3-インドリルメタノール誘導体に対するヒドロ脱ヒドロキシ化反応:キラルリン酸触媒により3-インドリルメタノール誘導体からヒドロ脱ヒドロキシ化反応が効率よく進行し,対応するキラルインドール誘導体が光学純度よく得られることを見出した。本反応においては,ベンゾチアゾリンが水素供与体として機能した。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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