研究課題/領域番号 |
17H03074
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉信 達夫 東北大学, 医工学研究科, 教授 (30243265)
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研究分担者 |
宮本 浩一郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70447142)
WERNER Frederik 東北大学, 工学研究科, 助教 (90791434)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 化学センサ / LAPS / 化学イメージセンサ |
研究実績の概要 |
本研究は、1000万画素の解像度と10ミクロンの空間分解能でイオンや分子の濃度分布を画像化できる半導体化学イメージセンサシステムの開発を目的としている。このうち画素数については、単一のプローブ光によって全ての画素から逐次的にデータを読み出すと膨大な時間を要するため、複数のプローブ光による周波数多重化読み出しと機械的走査を併用する方式を想定している。 本年度はまず、異なる周波数で変調された多数のLED光を、光ファイバとボールレンズを組み合わせて二次元配列した光学系によってセンサ裏面の異なる位置に照射する際の位置精度を高めるための検討を行った。次に、これをXYステージによる機械的な二次元走査と組み合わせて高画素数の化学イメージを測定するにあたり、照射範囲を連続的に走査しながら一定時間間隔で各画素位置に対応したデータを読み込むことにより、化学イメージの取得に要する時間を大幅に短縮することができた。さらに、テストパターンの測定により、本システムを用いた場合の測定時間・空間分解能・ノイズレベルなどの性能を従来のシステムと比較した。 また、本センサシステムを、pH分布の測定以外に、各種イオンやガス分子の濃度分布測定にも応用するため、センサ表面に各種感応膜をパターニングする方法についての検討を行ったほか、ステンレス鋼表面の腐食、鋼中の水素透過、生分解性ポリマーの分解、大腸菌の代謝活動、細胞層のインピーダンス、植物根圏のpH分布など、各種試料の化学イメージングに応用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学イメージセンサによる測定の高画素化と高速化の両立に必要な各種の改良を実施し、性能の評価を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究により、それぞれ異なる周波数で変調された多数のプローブ光を、光ファイバとボールレンズを組み合わせた光学系を用いて LAPSセンサ裏面の異なる位置にそれぞれ集光し、各周波数成分が重畳した交流光電流信号を周波数分離することによって、各位置におけるpH値やイオン濃度を同時に計測し、さらにこれをXYステージを用いた機械的な二次元走査機構と組み合わせることによって、化学イメージセンサによる測定の高速化と高画素数化を両立させることができた。 最終年度は、開発した化学イメージセンサシステムを以下のようなさまざまな測定対象に適用して、本システムの性能を確認し、また、測定対象にあわせたシステムの改良や解析方法の開発・検討を行う。 (1) 電極におけるイオンの発生や拡散を伴う電気化学反応 (2) マイクロ流路内部におけるイオンの拡散や反応 (3) 生物試料における代謝活動の定量 (4) 多数のイオン種の同時測定
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