研究実績の概要 |
(1) 新規カチオン性ラジカル重合開始剤の合成と蛍光性温度センサーの無毒化:世界初となるカチオン性ラジカル重合開始剤(2,2'-azobis-[2-(1,3-dimethyl-4,5-dihydro-1H-imidazol-3-ium-2-yl)]propane triflate, ADIP)を合成し、これを用いて蛍光性温度センサーを合成した。得られたカチオン性蛍光センサーを用いて、動物培養(HeLa, HEK293T, MOLT-4)細胞への導入実験を行い、導入効率、温度応答性、毒性の各種評価を行った。この結果を原著論文としてAngew. Chem. Int. Ed.誌へ投稿し、掲載が決定された。 (2) 褐色脂肪細胞の分化と熱産生能の関係解明:褐色脂肪細胞は、健康機能の維持や肥満解消に深く関係すると考えられており、その代謝活性と熱産生の関係に興味が持たれている。そこで、ラットより摘出した前駆脂肪細胞を培養しながら成熟させ、細胞内温度を計測したほか、脱分極剤(FCCP)およびベータアドレナリン受容体の活性化剤(ノルエピネフリンおよびCL316.243)を添加した際の細胞内温度変化を計測し、分化の程度と細胞内温度との関係を調べた。これらの結果を第38回日本肥満学会にて学会発表したほか、原著論文としてSci. Rep.誌にて発表した。 (3) 蛍光性温度センサーの普及を目的として金沢大学薬学シンポジウム2017にて本研究分野をまとめた招待講演を行ったほか、Chem. Commun.誌に依頼総説を発表した。
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