研究課題
助成金交付額が申請額より削減されたことに伴い、予定していた高輝度X線発生装置の購入は断念することになった。一方、これまで蛍光X線イメージングに使用予定であったX線カメラに想定外の不具合が生じ、修理も困難であったため、新たに高感度なX線カメラを導入することにした。波長分散型の蛍光X線イメージングを行うにあたり、微弱な蛍光X線を画像化するX線カメラは重要な要素部品となる。選定に関しては、並行して研究を進めているフォトンカウンティング解析によるエネルギー分散型のX線CCDカメラの特性評価を行なった。その結果、選定したCCDカメラでは素子の大きさが小さく、空間分解能の良いX線画像が得られることや、高感度性について高い評価が得られた。そこで、今年度はそのX線CCDカメラを購入し、既存の波長分散型分光器に設置し、動作確認、特性評価を行った。しかしながら、試料からの微量元素のイメージングのためには検出器に至る蛍光X線強度がやや低いことが分かった。試料からの蛍光X線は1次X線の強度に依存するため、X線源に近づける工夫や分光結晶と検出器の間隔を小さくする、つまり、波長分散型蛍光X線イメージング分光器の小型化が必須であることが分かった。これについては、次年度に解決するべく、今年度は小型分光器の設計を完了した。一方、当初予定していたポリキャピラリーハーフレンズの購入であるが、X線CCD検出器の特性に合わせて、その仕様決めを行う必要が生じ、加えて製作業者との交渉に時間がかかり、今年度内に購入することが困難となった。このため、ポリキャピラリー素子の発注購入についてはやむ終えず次年度への繰越とした。しかしながら、前述のように、フォトンカウンティング解析による蛍光X線イメージングに関して、高空間分解能で迅速な元素イメージングが可能であることが確認でき、十分な予備実験と研究成果を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
これまで使用していたX線カメラに想定外の不具合が生じ、急所、X線カメラの選定と購入を行う必要が生じた。X線カメラの納品後に、波長分散型分光に設置し、その特性評価を行い、その結果を得てからポリキャピラリー素子の選定を業者と打合せすることになったため、初年度に予定していたポリキャピラリー素子の購入は次年度にずれることになった。しかしながら、小型の波長分散型の分光器の設計を終えたこと、加えて、フォトンカウンティング方式の蛍光X線イメージングにおいて、高空間分解能であることや迅速イメージングであることを実証できたことは大きな成果であった。よって、当初計画からはやや遅れたものの、蛍光X線イメージングという目標に関しては、おおむね順調に研究を進展することができた。
次年度はポリキャピラリーの仕様決めと購入と小型分光器の試作を行うことで、顕微分光イメージングの実現に向けて加速的に研究を進める。
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