今後の研究の推進方策 |
平成30年度に開発したCNVKより長波長でのDNAと光架橋可能なピラノカルバゾール(PyC)を含む光反応性塩基を用いて、光誘導DNAダブルストランドインベージョン(Photo-induced DNA Double-strand Invasion: pDDI)を行う。pDDI法による内在性の遺伝子発現制御を実証することを目的に、ガン細胞中で過剰発現しているガン原遺伝子の遺伝子発現制御に挑戦する。遺伝子DNAを標的とするアンチジーン核酸の標的遺伝子として多数の報告がある(Clin. Cancer Res., 2012, 18, 796)を参考に、N-myc遺伝子を標的とするpDDI-dsODN-Sを設計し、DNA自動合成機により合成する。ガン原遺伝子であるN-myc遺伝子を過剰発現しているヒト神経芽細胞腫細胞株(IMR-32)を準備し、リポフェクションによりpDDI-dsODN-Sを細胞内に導入する。適切な時間・波長の光照射の後、CO2インキュベーター内でインキュベーション(1日程度)し、市販のセルカウンティングキット(MTTアッセイ)を用いた生細胞率の測定、RT-qPCRによるN-myc mRNAの定量(内部標準:GAPDH or β-actin)から、N-myc遺伝子発現の光制御により細胞死が誘導されていることを証明する。また、N-myc遺伝子の発現抑制抑制によるアポトーシスの活性化(Mol. Cancer Ther., 2005, 4, 779)が報告されている。本系においてもこれを確認すべく、光照射後の細胞中に現れることが予想されるアポトーシスマーカー(Casp3/7活性の亢進、フォスファチジルイノシトールの細胞膜表面への提示(アネキシンV染色))の検出を試みる。いずれのマーカーも定量・染色キットが市販されていることから、これらを用い、効率的に研究を進める。
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