研究実績の概要 |
In vitroにおけるヒトテロメアRNA構造に関しては、すでに我々がNMR解析により、ヒトテロメアRNAが四重鎖構造をとることを発見した。しかし、実際に、この構造が細胞内で、どのような時期やどこに存在しているかは全く解明されていない。本研究は、申請者がこれまでの研究から蓄積してきたテロメアRNA構造解析及び反応性の知見を生細胞レベルに生かして、細胞内テロメアRNAの構造・機能の解明を目指すものである。テロメアRNAとDNAのクリック反応を使って細胞内においてテロメアRNAとDNAにより形成するハイブリッド型四重鎖構造を可視化し、両者の関連性を解明する。さらに核酸誘導体及び19F-NMRによる細胞内のハイブリッド四重鎖構造を解析する。平成30年度は細胞内のRNAを可視化するため、クリック反応を利用するRNA誘導体の合成に成功した。 令和元年度は合成に成功したRNA誘導体を用いて細胞内の細胞内のRNAを可視化することが出来た (Bioconjugate Chem. 30, 2958, 2019)。 また、RNAとDNAを安定化する核酸誘導体2′-O-Methyl-8-methylguanosineを開発し、RNAとDNAを安定化することを明らかにした(Molecules, 23, 2572, 2018; Bioorg. Med. Chem. 27, 364, 2019)。 開発した核酸誘導体2′-O-Methyl-8-methylguanosineを利用して、インフルエンザAウイルスによる重症化や受容体との相互作用などがZ-RNAウイルスに関連することを明らかにした(Cell, 180, 1115, 2020)。 さらに19F-NMRによる細胞内のハイブリッド四重鎖構造テロメアDNA分子構造の解明に成功した (Nucleic Acids Res. 47, 4940, 2019)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)クリック反応を利用するRNA誘導体の合成に成功しそれを用いて細胞内の細胞内のRNAを可視化することが出来た (Bioconjugate Chem. 30, 2958, 2019)。 (2)RNAとDNAを安定化する核酸誘導体2′-O-Methyl-8-methylguanosineの開発に成功した(Molecules, 23, 2572, 2018; Bioorg. Med. Chem. 27, 364, 2019)。 (3)核酸誘導体を利用してインフルエンザAウイルスによる重症化や受容体との相互作用などがZ-RNAウイルスに関連することを明らかにした(Cell, 180, 1115, 2020)。 (4)細胞内のハイブリッド四重鎖構造テロメアDNA分子構造の解明に成功した (Nucleic Acids Res. 47, 4940, 2019)。 (5)関連特許を既に3件出願しており、PCT出願を3件出願済みである。 (6)研究成果を発表したCISAC2019国際シンポジウムにおいてポスター賞を受賞した。
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