研究実績の概要 |
本研究は、申請者がこれまでの研究から蓄積してきたテロメアRNA構造解析及び反応性の知見を生細胞レベルに生かして、細胞内ヒトテロメアDNAとRNAの構造・機能の解明を目指す。一方、これまで開発されたテロメアをターゲットとするがんの抑制手法では、通常細胞とがん細胞を十分に区別できないために、副作用が避けられなかった。したがって、副作用の少ない抗がん分子の開発が望まれており、テロメアを標的とするがん標的治療の新手法を開発する。 (1)NMRによるIn vitro及び細胞内のハイブリッド四重鎖構造テロメアDNA分子構造の解明に成功した(Bull Chem Soc Jpn 2020, 93, 621-629; Chem. Commun. 2020, 56, 6547-6550)。 (2)クリック反応を使ってin vitroでの四重鎖構造の制御に成功した(Molecules 2020, 25, 4339)。 (3)開発した核酸誘導体を利用して細胞内Z-DNAなど高次構造の解析に成功した(Nucleic Acids Res. 2020, 48, 7041-7051; Curr. Protoc. Nucleic Acid Chem. 2021, 1, e28) (4)ヒトテロメア四重鎖構造を標的する小分子を開発し、四重鎖構造の形成を利用した核酸アプタマーを合成し、目的タンパク質を特異的に認識することを明らかにした(J. Med. Chem. 2021, 1, 711-718; ACS Biomater Sci Eng. 2021, 7,4, 1338)。
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