本年度は、新規なセンサータンパク質として、Fe-Ni二核金属錯体をセンサー活性部位とする水素センサータンパク質Regulatory Hydrogenase の生合成反応機構の解明に関する研究の一環として、HypXにより生合成されたCOを利用し、ヒドロゲナーゼの活性中心の構成要素であるFe(CN)2CO錯体の生合成に関与するアクセサリータンパク質HypC、HypDの結晶構造解明を行った。 HypCは、HypDと安定な複合体を形成して鉄錯体構築の足場タンパク質として機能する。AaHypCは5本のbetaシートから構成されたalphaバレルと長いC末端alphaヘリックスから構成されていた。AaHypCのbetaバレルのN末端側は塩基性アミノ酸や主鎖のアミノ基が分子表面に集まり、正電荷に富んでいた。この領域はHypDと共に鉄錯体結合ポケットを形成することが示唆されており、ヒドロゲナーゼ生合成に関与する他のアクセサリータンパク質との相互作用に関与していると推定される。 HypDは[4Fe-4S]型鉄硫黄クラスターを有するタンパク質で、HypCと共にFe(CN)2CO錯体構築の足場となる。結晶化スクリーニングの結果、16 % PEG3350、0.1 M クエン酸緩衝液 pH5.6、1 mM DTTを結晶化溶液とする条件で、蒸気拡散法によりAaHypDの結晶化に成功した。AaHypDの結晶は空間群P212121に属し、格子定数はa=60.7、 b=61.9、 c=96.8だった。すでに結晶構造が報告されている古細菌Thermococcus kodakaraensis由来のHypD (TkHypD) をサーチモデルとする分子置換法により、AaHypDの結晶構造を 1.9 Å分解能で決定した。
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