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2017 年度 実績報告書

生活関連物質から生じるハロゲン化アリール類の水圏汚染化学とリスク削減に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17H03094
研究機関岩手大学

研究代表者

寺崎 正紀  岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (10363904)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード臭素化副生成物 / 生態毒性 / エストロジェン活性 / 急性遊泳阻害試験
研究実績の概要

今年度は芳香環上に臭素が置換したパラベン18物質の生態毒性に関する知見を得ることを目標とした。初めに、甲殻類(Daphnia magna)への急性遊泳阻害試験を評価した。その結果、一臭素化パラベンのEC50は2.0~30 ug/mL、二臭素化パラベンのEC50は2.0~8.9 ug/mLであった。これにより臭素の数が多いパラベンほど、急性毒性が高まる傾向があることを確認した。一臭素化体については、エステル側鎖の炭素数が増加すると急性毒性は強まった。一方、二臭素化体は側鎖の炭素数と急性毒性との間に明確な関係は見られなかった。また、ハロゲン化パラベンの急性毒性を比較すると、臭素化体が塩素化体よりも毒性が強いことも明らかになった。臭素化安息香酸(臭素化パラベンの分解物)は曝露濃度50 ug/mLにおいても急性毒性はなかった。
続いて、エストロジェン作用能を酵母ツー・ハイブリッドアッセイ法により評価した。アゴニスト活性は、側鎖アルキル炭素数がC1~C4のパラベンに活性が見られるものの、それらの一および二臭素化体では活性が消失した。対照的に抗エストロジェン活性は、臭素のないパラベンは不活性であったものの、臭素化パラベンは臭素置換数の増加とともに抗エストロジェン活性は高まることが判明した。活性の強さはポジティブコントロールとして使用した4-ヒドロキシタモキシフェンの0.0045~1.9倍であった。ベンジルパラベンは、エストロジェン・アゴニスト活性および抗エストロジェン活性の両方を示すが、臭素化に伴い、いずれの活性も減少することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

対象とする汚染物質のリスク評価に必要な毒性試験を計画通り実施するとともに、得られた結果から、強毒性化学種が含まれていることを明らかにしたため。

今後の研究の推進方策

環境中の存在量や発生源推定を解明するため、LC-MSによるターゲット化合物(27物質)の一斉分析法の確立に取り組んでいる。また、リスク評価の高精度化を達成するため、藻類による急性成長阻害試験を追加することも検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Effect of bromination on the estrogen agonistic/antagonistic activity of parabens2017

    • 著者名/発表者名
      Kohei Sasaki and Masanori Terasaki
    • 学会等名
      Society of Environmental Toxicology and Chemistry (SETAC) North America 38th Annual Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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