研究課題/領域番号 |
17H03098
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
平野 正典 愛知工業大学, 工学部, 教授 (60267888)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 複合酸化物 / 希土類 / 水熱合成 / ニオブ酸塩 / チタン酸塩 / 蛍光 / アップコンバージョン / エシナイト |
研究実績の概要 |
エシナイト型のGdTiNbO6結晶に関して、250℃以下の低温で、無機金属塩を原料とする水溶液からの合成およびそのプロセスについて詳細な検討はなされていない。本研究では、水熱法を基にしたグリーンプロセスにより、目的化合物であるRETiNbO6 結晶(REは希土類)の合成を行う。本年度は化合物GdTiNbO6の合成条件を把握する目的で、溶液濃度、溶液のpH、水熱処理温度・時間などの最適な合成条件を調べ、またGdNbO4、ZnNb2O6等のいくつかの他のニオブ酸塩の場合と比較して検討を行った。類似の水熱条件を用いて合成した場合、チタン成分を含まないニオブ酸塩では、ナノサイズの微細な結晶が生成したが、これと対照的にGdTiNbO6の場合は、結晶が良く成長したミクロンサイズの粒子として生成した。200℃付近までの水熱処理の結果では、生成物はアモルファスであったが、約220℃付近からエシナイト相の水熱結晶化が始まり、240℃ではミクロンサイズの粒子となった。本実験の水熱条件では、ユークセナイト相が安定と考えられる組成においてもエシナイト相が生成しやすいことが明らかとなった。またEr3+/Yb3+イオンを共ドープして、GdTiNbO6の希土類イオンの一部を置換した組成の結晶を水熱合成し評価した。赤外分光分析の結果から、共ドープしたEr3+/Yb3+イオンに基づくアップコンバージョン蛍光を得るためには、水熱合成した結晶に含まれる微量のOH基を除去することが不可欠であることが示唆された。いくつかのニオブ酸塩と比較することで、目的とする母結晶の一つである化合物GdTiNbO6の合成条件がかなり明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの検討結果より、目的とする母結晶の一つである化合物GdTiNbO6の合成に必要な条件がかなり明らかとなった。また同時にいくつかの希土類イオンで置換固溶したGdTiNbO6も合成可能であるという結果を得ているので、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
組成(希土類)が異なると、生成物の結晶相、粒子形態、および結晶性の高い微粒子を得るための調製条件(溶液のpH、最適な合成温度・時間)等が変化することが予想される。RE (希土類)が異なるエシナイト型RETiNbO6母結晶の合成条件を調べ、生成物の結晶相、粒子形態、物性等を評価し検討する。希土類イオンの違いがRETiNbO6結晶の結晶構造の変化、相転移挙動、相安定性、蛍光特性等に及ぼす影響を、主としてイオン半径の観点から検討する。RETiNbO6の希土類イオンを他の希土類イオンで一部置換した結晶を合成し、その構造と性質を明らかにする。
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