研究課題/領域番号 |
17H03108
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
落合 文吾 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (20361272)
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研究分担者 |
松村 吉将 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (30791818)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高強度材料 / ポリマー |
研究実績の概要 |
室温での堅さを持ちながら折り曲げられて戻せる、繰り返し使用可能な折り紙の様な特性をもったポリマーの開発を目的に、以下の研究を行った。まず、繰り返しての折り曲げのような変形に耐えられる特性が、環状構造を貫通した可動的な架橋構造(環動架橋)に起因すると考えられるため、この環動架橋構造が形成されていることの証明を行った。貫通する分子の構造を様々に変え、環を通過できない程度の十分な大きさを持つストッパー(ジフェニルメタン基など)と環に十分取り込まれながら移動する程度の長さを持つ軸構造(6以上の繰り返し単位をもつポリエチレングリコール構造など)を、繰り返し単位に持つポリマーのみが優れた力学特性を発現することを見出した。この力学特性の解析と分光学的な評価から、環動構造の形成を証明することができた。次に、優れた力学特性が発現する要因を詳細に解析した。その結果、アクリロニトリルに由来するニトリル基間の双極子ー双極子相互作用に基づく可逆的な物理架橋が堅さと初期の変形性を、環状構造を形成するための二官能アクリレートモノマーの副反応に由来する化学架橋が回復性を、コモノマーであるアクリレート由来の柔軟性と上述の環動架橋構造が優れた変形性を、それぞれ主に担っていることが明らかとなった。 本材料が発展すれば、現在は目的に応じた型を用いて成形する必要が有ったポリマーから、平面から折り上げたり組み合わせたりすることで折り紙のように形と機能が発現できる材料を開発することができる。平成29年度の成果は、このための重要な基礎的知見を与えたものであり、今後の材料設計の大きな指針となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた環動架橋構造の証明を達成できた。また、高変形性と形状回復性のメカニズム解明の一部を予定していたが、物理架橋、化学架橋、環動架橋が協奏的に高強度化に寄与していることを明らかに出来た。
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今後の研究の推進方策 |
継続してメカニズム解明を行うと共に、三次元構造体をはじめとした多様な構造体を作製し、機能を評価する。さらに、ポリマーの一次構造をさまざまに変え、より硬度に優れる材料、ならびに逆に伸びなどに優れる材料を作製・評価し、材料の設計指針を確立する。
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