研究課題/領域番号 |
17H03127
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
杉本 渉 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (20313843)
|
研究分担者 |
望月 大 信州大学, 先鋭領域融合研究群環境・エネルギー材料科学研究所, 准教授(特定雇用) (90434315)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 触媒・化学プロセス / ナノ材料 / 表面・界面物性 / 無機工業化学 |
研究実績の概要 |
CO2の電解還元に対して高活性を示す電極触媒を目指し,エッジを多く露出させた厚みが1 nm以下のAuナノシートを合成する。Auナノ粒子よりも安定で活性が高い新規触媒を得るために,活性エッジサイトを多く露出させた単原子~数原子層厚のサブナノAuナノシートを合成するとともに,ナノシートの配向性を制御し,物質輸送を最大化させる三次元化Auナノシート電極を創製する。 電気化学手法を利用し,RuナノシートにAuを被覆したRu@Auコアシェルナノシートを合成した。比表面積をCuストリッピングボルタンメトリーから算出した結果,117 m2/g-Auと見積もることができた。この値は粒径2.6 nmのAuナノ粒子(室温では液体の領域)に相当し,高比表面積を有する金触媒の合成に成功した。 TEM像より,直径2~3 nm以下の小さなナノ粒子が多数観察され,Ruナノシート上に堆積したAuナノ粒子と考えられる。直径20~30 nmの大きな粒子も存在し,均一性に課題が残った。大きい粒子の比表面積は計算上10~20 m2/g-Au程度であるため,Cuストリッピングから算出した比表面積(117 m2/g-Au)と一致しない。大きな粒子は平均厚さが数原子層でアイランド状に成長したAu原子層の可能性もある。2~3 nmの小さなAu粒子もアイランド状(扁平なナノ粒子)になっている可能性がある。 置換めっき反応を繰り返し行うことでRuナノシート上にAu原子を多層堆積させた。Au原子の積層数が増えるにつれ,Cuの酸化ピークが正方向にシフトし,バルクAuの電子状態に近づくことが示唆される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画にそってAuナノシートの合成ができている。Au層の厚みを変えることにも成功している。
|
今後の研究の推進方策 |
(材料合成) 今後,ナノシートサイズを変えたナノシートや,キンクやステップを導入したナノシートの合成に取り組む。これらを通して活性サイトの特定と活性サイト密度の向上を目指す。
(多孔質電極合成) 今後,ナノシートの配向を制御し,物質輸送を最大化できる電極構造を導き出す。これらを通して大電流での電解の実現を目指す。
|